第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 B
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かったがその遺体が大尉であることは私にはすぐに分かった。
それは義足である。
そこに刻まれた大尉の名前・生年月日・血液型等で判別がつく。
私は、ヘルメットを外し
大尉の前でうずくまった。
涙が止まらなかった。
大尉とは数か月とはいえ教官仲間として親しかった仲でもあり、何よりも戦友であった。
何分間そこにうずくまっていたかはわからない。
しかし、後ろに気配を感じた。
それもトマホークを振り上げている音が!
私はそれに気づいて一気に右にはねとんだ
そして、コンバットナイフをその方向に投げると奴はそれをよけてトマホークを持ってこちらに突っ込んできた。
私もトマホークを持って反撃する。
いっきに貫胴でかたをつけてやろうと思って貫胴の体勢に入るが嫌な予感が頭をよぎる
このままではやられる
なんとなくそう思ったのだ
私は貫胴をやめて防御態勢のまま突っ込んだ
するとトマホークに敵のトマホークが当たった!
私はそれを切り返して攻撃するが敵も反撃し、かわされる
お互いに間合いをとって、にらみ合う
すると、後ろから
「中尉! 中尉!」
と叫びながら第3中隊員がライフルを射撃しているのが見えた。
すると、奴は煙幕手りゅう弾を私に投げつけて退却していった。
私は追撃しようにも視界不良でできなかった。
あの擲弾装甲兵は何者だ?
という疑問と大きな徒労感から私はその場に立ち尽くしていた。
第3小隊長のリヒトフォーフェン少尉に呼び掛けられるまで、私は呆然としていたらしい。
そして、ルブルック大尉の遺体を見る。
一気に現実に引き戻された。
こうして、その日の掃討作戦は同盟軍の苦い勝利で終結した。
300名以上の犠牲を払って
帝国軍は同盟軍捕虜を虐殺し、死体にさらに損傷を与えるなど残虐行為で同盟軍の士気をそごうとしていた。
同盟軍兵士たちはいきり立つものもいたが、帝国軍の予測通り戦意を喪失し前線勤務を嫌がる兵士まで現れた。
ローゼンリッター連隊はどちらかというと前者のほうであったが、それでも実戦経験の未熟な兵士ほど前者に偏りがちであった。
その日ローゼンリッター連隊はシェーンコップ中佐・ブルームハルト大尉の率いる部隊の異常な前進距離によってこの地域に取り残されていた700名の市民を救出することに成功し、多くの敵部隊を壊滅・撃破したことで殊勲部隊表彰を受けた。
中佐と大尉はそれぞれ第1級殊勲勲章と第2級勲功勲章を授与された。
私自身も不時着したヘリパイの救出作戦での殊勲で銅星勲章(ブロンズスター勲章)を授与された。
第3中隊も連隊長から殊勲中隊賞を授与された。
そんなことは私にとってはどうでもよく、部下を失ったこと、ルブルック大尉が戦死したこと、そしてあの謎の強敵の正体などが頭の中をくちゃくちゃにかき乱しておりど
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