第80話
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ンマがあっただろう。」
「あ……」
「幼い頃の記憶も同じ。恐らく、カリンは覚えていても俺の記憶は曖昧になっていたはずだ。」
「そっか……それで……。って、『カリン』ってどこかで聞いたことがあるわね?」
「………………………………」
レーヴェから出たある名前が気になったエステルが呟いた言葉を聞いたレーヴェは黙った後、窓に近づき、外を見ながら話し始めた。
「―――カリン・アストレイ。俺の幼なじみでヨシュアの実の姉だ。10年前に亡くなった。」
「!!!」
「お前の持つハーモニカは元々はカリンの物だった。それを形見としてヨシュアが受け取り……それをお前が受け取ったわけだ。」
「ヨシュア……お姉さんがいたんだ……。………………………………。あの……どうして……カリンさんは……お姉さんは亡くなったの?」
「……それを知ったらお前は真っ白のままで居られなくなる。ヨシュアや俺たちの居る闇の領域を覗き込むことになる。その覚悟はあるか?」
エステルに尋ねられたレーヴェは静かに問いかけた。
「………………………………。……うん、教えて。覚悟があるかどうかはちょっと分からないけど……。あたしは……ヨシュアの辿ってきた軌跡をどうしても知っておきたい。その気持ちは本当だから。」
「……いいだろう」
そしてレーヴェは自分とヨシュア、そしてカリンの過去を話し始めた。
「あれは10年前……俺たちのいたハーメル村がまだ地図にあった頃のことだ。ハーメルは小さな村でな……。子どもが少なかったこともあって俺たちはいつも一緒に過ごしていた。俺はいずれ遊撃士になることを夢見てヒマを見つけては剣の練習をし……それをカリンと小さなヨシュアが眺めているのが日課になっていた。」
――それはどこにでもある小さな村の平和な光景―――
「……練習が終わった後、俺とヨシュアは、カリンの奏でるハーモニカの旋律に耳を傾けた。カリンは何でも吹けたが、俺たちの一番のお気に入りは一昔前に流行った『星の在り処』だった。そんな日がいつまでも続く……そう俺たちは信じて疑わなかった。」
―――青年達は小さな平和がずっと続いて行くと、信じ続けた………しかし―――
「村が襲われたのは、そんなある日のことだった。王国製の導力銃を携えた黒装束の一団……。彼らは村を包囲した上で住民たちをなぶり殺しにしていった。ただ一人の例外もなく、年寄りから赤子に至るまで。一息で殺された者はまだ幸せだったかもしれない。……女たちの運命はさらに悲惨だった。」
――――平和だった村は現世の地獄と化した……男は殺され………生きていた女は犯され、そして殺されて行った――――
「
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