第79話
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がある。何か聞きたいことはあるかね?」
エステルの疑問に答えたワイスマンはエステルに尋ねた。
「………………………………。……聞きたいことがあり過ぎて何から聞こうか迷うんだけど……」
「焦ることはない。ゆっくりと考えたまえ。よかったら一曲、弾かせてもらおうか?」
「結構よ。ていうか、そんな趣味を持ってる人とは思わなかったんだけど……。貧乏な考古学者っていうのは完全に嘘っぱちだったわけね。」
ワイスマンの申し出を断ったエステルはジト目でワイスマンを睨んで言った。
「フフ、貧乏はともかく考古学を研究してるのは本当さ。ちなみにパイプオルガンは教会にいた頃、嗜んでいたものでね。あの帝国人ほどではないが、それなりの腕前だっただろう?」
「きょ、教会にいた……?」
「いわゆる学僧というやつさ。”盟主”と邂逅したことで信仰の道は捨ててしまったが……。その時に学んだ古代遺物アーティファクトの知識は今もそれなりに役立っている。そう、今回の計画においてもね。」
「………………………………。大佐をそそのかしてクーデターを起こさせたのも……各地で《ゴスペル》の実験をして色々な騒ぎを起こさせたのも……全部……あんただったわけね。」
エステルは真剣な表情で尋ねた。
「その通り―――全ては”福音計画”のため。」
「『福音計画』……。あの研究所のデータベースにもそんな項目があったけど……。要するに”輝く環”を手に入れる計画ってわけ?」
「手に入れるというのはいささか誤った表現だが……まあ、そう思ってもらっても構わないだろう。」
「”輝く環”って何?女神の至宝って言われているけど具体的にはどういうものなの?」
「”輝く環”の正体に関しては現時点では秘密にさせてもらおう。せっかくの驚きを台無しにしたくはないからね。」
「驚きって……」
ワイスマンの答えを聞いたエステルは呆れた表情をした。
「計画も第3段階に移行した。もう少しで、その正体は万人に遍く知れ渡ることになる。フフ……その時が楽しみだよ。」
「………………………………」
「そして”環”が現れたその時……我々は、人の可能性をこの目で確かめる事ができる。」
「人の可能性……。”レグナート”もそんな事を言っていたような……」
「ほう、あの聖獣からそこまでの言葉を授かったか。ふむ、あながちお父上の七光りだけではないようだね。」
エステルの話を聞いたワイスマンは感心した表情でエステルを見た。
「お世辞は結構よ。何よ……色々質問したってはぐらかしてばかりじゃない。」
「これは失礼……そんなつもりじゃなかったのだが。だが、君が一番聞きたい質問にははっきり答えられると思うよ
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