暁 〜小説投稿サイト〜
大丈夫、な訳がない。
序の章
ハジマリ×オドロキ
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 誰かに揺さぶられる様な感覚を覚えた。遠く、遠くの方で、誰かの声が聞こえる。
 五月蝿いなあ、まだ、寝ていたいのに。
 そう思って身をよじると、動いた事で脳が起き、意識が覚醒していった。
 私は、はっとして目を開く。

「あ、起きた」

 その声に辺りを見渡すと、茶色い髪を二つ程のシニョンにした、チャイナ服を来た女の子が目に映った。
 誰だお前。そんな言葉を飲み込んで起き上がると、そこが中華風の食堂である事が見て取れた。辺りには、香辛料の香りが充満している。

「シショー、女の子起きたヨ」

 チャイナ娘は、案の定な話し方で師匠とやらに話しかけた。厨房の方に話しかけたという事は、師匠というのはコックなのだろうか。
 その呼び声に怒鳴るように返事を返し、厨房の奥から出てきたのは一見そのテの社会の人かと思うような、厳つい男性。師匠、なるほど。と言った印象を受けた。

「ったく、一々呼びつけるんじゃあねェよリュカ。……おお、嬢ちゃん目を覚ましたか。具合はどうだ」
「呼べ言たのシショーヨ? ウチなんも悪くないネ」
「あ、いえ……お陰様で、大丈夫です」

 意外にも、師匠さんは優しいらしい。文句をたれつつも私の身を案じてくれた。師匠さんにツンデレ疑惑がかかる。
 あと、チャイナ服を着た子はリュカと言うらしい。名前も可愛いとかこの。この。
 一人で勝手に身悶えていると、師匠さんに元気そうじゃねぇか、と言われてしまった。確かに、元気ではある。

「あ、そうだ……拾って頂きありがとうございました。私は大丈夫ですので、これで……」
「待て待て待て」

 私は、助けてもらった礼を言うと立ち上がり、店を後にしようとした。
 その言葉を、師匠さんが遮る。

「お前さん、今が何時か分かって出ていこうとしてるんか?今は午前二時。まだ出るにゃ早すぎるよ。この辺りは、治安も悪いしなぁ……」

 私は店内の時計を探し、凝視した。気が付かなかった。今、夜中だったのか。
 私が黙り込んだのを見て、師匠さんは暫く家にいるといい、と頭を軽く撫でる。私が、寂しそうな幼子にでも見えたのだろうか、私が自分の年齢を告げると、二人に大爆笑されてしまった。

「じゅ、十七! 嬢ちゃん、嘘はいけねぇぞ、どう見たって十かそこいらじゃねぇか!」
「有り得ないネ! 面白過ぎるヨ、きとそういう年頃アルな」

 二人とも、そういいながらひいひい言ってる。これであれか、ヒイヒイ言わせた事になるのか。と、どうでも良い思考が回った。
 それよりも、今、なんと言われた?
 どう見ても十かそこいら……?
 それこそ、新手の冗談ではあるまいか。そう思い、店の窓ガラスを鏡替わりに自分を見てみる。
 元より明らかに幼い、あどけない顔つき。スタイルの良い方では
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ