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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第53話 血は人間でしょう?
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ハーレム》について。
生前……、ではなく 前世の世界では、数多の男達にとっては はっきり言って夢だ。楽園だ。……と言うより、実際はありえない空想上、その妄想の世界での出来事と考えていたが。今日体験してみて、心底思った。
『(こんなんはいらん!!! 夢なんかじゃないっ! 悪夢だっっ!!)』
砕蔵の様な男子生徒であれば、問答無用で黙らせる事が出来る! と言うものだけど、生憎女の子に手をあげる様な事は出来ない。
行き場の無い怒りを、抑え……てはない。カイトは、プンプン怒りながら立ち去ろうとした時。
『わーーー カイトっ!!! ゴメンってば!!! まってよーー! テスト、やばいんだって、ほんとっ!! あ、謝る、謝るからーーーっ!!』
月音は、後から追いかけてきたのだ。
正直、男に追いかけられて嬉しい男など、いない。……そっちの気がある者以外は、全然。
『(男のハーレムなんざもっといらん!!)』
と言う訳で、カイトも当然ながら、健全な男子生徒。そっちの気など、有る筈もない。
『やかましーわ! もうこれ以上オレに走らせるなーー! 追いかけてくんなーーーっ』
『ごめん、ごめんってーーーーーー!!』
『うるさーーい!! おいかけてくんなー! 近所迷惑だ!!』
そしてその日の学校の時間、いや 自由時間の全て。月音は、カイトの機嫌取りに精を出したそうな。
と言う訳で、無事に教室に帰ったカイトは、机で突っ伏して寝ていると、やや遅れてモカが帰ってきた。
『あははは…、ほんとに大変だったね〜カイト!』
『ううむ……何であんなにパワーがあるの? 女子って……。メチャクチャ疲れた……』
『あはは! まっ、女の子は強いって言うからかな??』
モカは、笑顔で答えた。
流石に月音の様に、モカにまで怒ったりは出来ないだろう。本当に良い笑顔だから。
『ううー……、そういえばモカは何してたのさ…… オレが、リアル鬼ごっこしてる時に……』
机に突っ伏したまま訊く。
確か、逃げる間に遭遇したのは、月音だけだったから、モカの姿はなかった。
『うーん、あのね、あまりにも追いかけっこ範囲が広かったからさ、私とつくね、手分けしてカイトを追いかけてたんだ。でも、私の方は運が悪くてゴメンね! 助けられなかったんだよ』
改めて訊くと、モカも追いかけてくれていた様だ。それも、予鈴が終わって、授業開始直前まで。思い出してみると、確かに、モカは授業遅刻ギリギリで、教室に入ってきた筈だったから。
元々、嘘をつく様にも全然見えない。本当の事としか思えなかったから。
『うう〜〜』
『ん? どうしたの? カイト』
感慨極まった様で、今まで逃げ回っていたカイトだ
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