第三話 忘れられた遺跡と傭兵の少女
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ードソードで凍りついた不死者を切り裂く少女。
凍りついた状態で切られた不死者は、辺り一面に散らばるように四散する。
本来極限まで凍りついた氷を砕いたならば綺麗だと感じる事も出来たのかもしれないが、爆散したのが腐った肉片では感動も糞もない。
ただ、傷一つ無く不死者を葬った少女の姿だけは素直に美しいと思ったが。
「……ふう」
そんなライドの心情を知る由もなく、戦闘の終わった少女は短い息を吐く。
先程の戦いぶりからそれ程苦戦した様子も見受けられなかったが、精神的にはかなりきていたのかもしれない。
僅かに眉を寄せたその表情は疲労の色を浮かべ、二本の剣を持った両手はだらりと下げられている。
「……あの」
「…………」
そんな少女にライドは声を掛けるが、少女の方はまるでその場にライドがいないかのように振る舞い、二本の剣を腰に下げた鞘に収めるとそのままライドに視線も向けずに出口に向かって歩き出す。
その少女の態度はそのまま先程の戦いのライドへの評価に感じて少し傷ついたライドだったが、今のうちに外に出るのは大賛成だ。
一言も口を開かず出口に向かって歩を進める少女の背中に向かってライドは一歩踏み出して──
「!! 危ない!」
「きゃっ!」
──初めに少女が現れた時に咄嗟に足が出てしまったように。
少女に向かって伸びた“腕”を少女を抱き抱えながら躱すと、そのまま少女を抱き抱えたまま走り出す。
「ちょっ……! 突然何を……っ!」
突然のライドの凶行に自らの腰に手を伸ばす少女だったが、次のライドの言葉に動きを止める。
「ビンタも蹴りも後でいくらでも受けるから!! でも、今はとにかくこの場から離れるよ!! さっきの奴が──」
「……嘘……でしょう……?」
ライドに抱えられ、その背中越しに少女は確かに見た。
「──なんか増えちゃってるから!!」
自らが凍らせ、粉々にした不死者が4体に増えている光景を。
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