第三話 忘れられた遺跡と傭兵の少女
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ライドの位置からでは顔の細部まではわからなかったが、ぱっと見た感じでは非常に可憐な少女だった。
もしも街中で見かけたなら、正式な訓練を受けたどこぞのお嬢様と言われても信じてしまっただろう程に。
そう。
ここが捨てられた鉱脈で。
少女が向かっているのが不死の怪物でなかったら……。
「のおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉっ!!」
声が出たのは。
足が出たのは。
不死者に向かってつるはしを振り下ろせたのは殆ど無意識の事だった。
「!!」
少年の声に少女の肩が一瞬揺れるが、振り向きもせず少年の一撃に合わせるように右手の魔道具を振り抜いた。
若い二人の攻撃が不死者に入ったのは殆ど同時だっただろう。
最も、その結果は弾かれた少年のつるはしと、不死者の胴体を切り裂いた少女の魔道剣のひと振りだったが。
「邪魔です!」
「がぺっ!?」
そして、その一連の動きで瞬時にライドを足手纏いと判断したのか、件の少女は剣を振り抜いた延長の動きで器用にライドを蹴り飛ばす。
蹴られた勢いでライドは壁まで転がって止まると、顔を上げる。
すると、ライドを蹴った反動で不死者と距離を取ったらしい少女の視線の先にいた不死者が、激しい炎に包まれた所だった。
「燃えた!? まさか、炎の魔道剣!?」
ライドは驚きの声を上げるが、必殺の一撃を入れたはずの少女の可憐な顔が、眉を寄せて僅かに歪む。
その理由はライドにも直ぐに分かった。
激しい炎を上げて燃え上がっていた不死者が、切られた腹を急速に修復しながら同時に炎も消していたのだから。
「炎は効きませんか。ならっ!」
少女は左手のブロードソードを鞘に戻すと、変わりに腰に巻いていたベルトから一つの石を引き抜いた。
その石にはライドには見覚えがあった。
それもその筈、少女が手にしたのは魔石だったのだから。
そして、少女は右手の魔道剣の柄元ににあった魔石を親指で押し込むように外しながら、先ほど腰から引き抜いた魔石を取り付ける。
すると、先程までは淡い赤い光を放っていた魔道剣の刀身が青白い光へと様相を変えた。
「これなら──」
先程とは違い両手で魔道剣を構えた少女に向かって、不死者が腐った液体を飛ばしながら朽ち果て骨が見える腕を振り下ろす。
「──どうです!!」
しかし、振り下ろされた腕を華麗に躱しながら、少女の魔道剣が不死者の体を両断する。
そして、その傷口は──
「……凍……った……?」
ビキビキとガラスにヒビが入るような音が響き、不死者の体が固まりその動きを止める。
当然、その隙を少女が見逃すはずが無く、
「はあっ!!」
いつの間にか引き抜いたのか、左手のブロ
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