第三話 忘れられた遺跡と傭兵の少女
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……っけどさぁっ!!」
どうか行き止まりになりませんようにと祈りながら、ライドはスピードを緩めることなく坑道の角を走り抜け、
「魔力に犯された『不死者』がいる事まで予想できるかぁぁぁぁぁぁ!!」
無人であるはずの廃墟に突然現れた命無き怪物に対して、ライドは遺跡中に響かんばかりの叫びをあげた。
ずちゃ……ずちゃ……。
何かを引き摺るような湿った音が離れて行くのを聞きながら、ずいぶん前に崩落したのであろう瓦礫の影に隠れていたライドはホッと息を付く。
既に自分がどこにいるのかもわからないような状況だったが、命に変えられるものでもない。
「とはいえ、あんなのが彷徨いてるんじゃその命もどこまで持つか……」
瓦礫の隙間から顔を出し、辺りの安全を確認しながら呟くライドの声にも覇気はない。
それもその筈、そもそも魔導技師のライドに戦う力は無いに等しく、魔力に犯された『不死者』は魔力の通り道にいる限り文字通り不死身の存在だ。
「エターナルマナの恩恵か……魔石ならともかく、あんな化物まで作り出されたんじゃ堪らないよ……」
自らの生まれた地で魔石が無限の力を発揮する現象──エターナルマナ。
それは、坑道に設えられた消えない魔力灯に代表される尽きない魔力の奔流である。
だが、それは決して魔石のみが有するものではなく、魔力の通り道上に存在する命無き有機物に宿る事があった。
人の手が入っている坑道や、現在の鉱脈のように底の浅い坑道ならばそうなる確率は低いのだが、今回の坑道のように永い間人が訪れていないような坑道等では頻繁に起こった悪夢であった。
ある時は事故で命を落とした鉱夫が。
またある時は古い坑道に迷い込んで命を落とした冒険者が。
魂が肉体から抜け出た替わりとでも言うように、その身に魔力を宿して仲間を増やさんと遺跡の中を徘徊する。
その身が腐り、腐ち落ちても決して“死なず”何度でも再生して永遠にさまよい続ける骸となるのだ。
「……とにかく、どれくらいの数がいるのかはわからないけど、さっさと出口を探さないと……」
元々家賃の為に来たという目的も忘れ、坑道の隅に落ちていた朽ちかけたつるはしを拾い上げてライドは立つ。
少なくとも、生きてこの遺跡を抜け出ない限り家賃も糞もないのだから。
どれくらい歩いたのだろう。
少なくとも、外はもう真っ暗ではないかと言うくらいは歩いたとライドは思った。
手にしたつるはしはいつの間にか杖になり、進む足はパンパンになって引きずるようにやっと前に進んでいる状況だった。
それだけ見ても相当の距離を歩いてきた事が分かろうというものだが、それでも出口にたどり着けていないのは理由が
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ