第三話 忘れられた遺跡と傭兵の少女
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まった。
もしもこの場所が本来鉱脈であったのならば、現在この場所に魔石が存在していない理由も、長い事人の手が入っていないらしい様子も説明が付く。
もしかしなくてもこの場所は魔石が採れなくなって廃棄された元鉱脈なのだろう。
「だとしたら、出口も有るな」
ライドはホッとしたように呟き、触れていた照明器具から魔石を取り出そうとする。
「……あれ?」
しかし、押そうが引こうが光源の魔道具は壁から外れず、中に入っている魔石も取り外す事が出来なくなっていた。
「……ああ……あれか。奴隷か何かの発掘作業員の盗難を防ぐ為に、敢えて交換不要の構造にして開けられないようにしたとか何とか聞いたことあるな。なんて迷惑な……」
今月分のノルマを何とか達成出来たと内心喜んでいたライドはがっくりと項垂れる。
これが力自慢の戦士だったならば獲物で強引に破壊するなりして取り出すのだろうが、ライドの細い腕では叶わないばかりか、持っている魔道具も今では『ライド式浄水器』のみである。
「仕方ない。命が助かっただけでも良しとして、出口を探そう」
そう呟いて取り敢えず風が吹いているであろう方角に歩を進めるライドだったが、人の手から離れた魔力の通り道に現れる事がある『ある存在』の事をすっかり失念してしまっていた。
「のわあああアぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」
遺跡に落ちたライドが出口に向かって歩き出してからかなりの時間を要していたが、ライドは未だに遺跡の中にいた。
いや、より正確に表すならばスタート地点よりも更に遺跡の奥に向かって走っている所だった。
足をもつれさせながらも必死に逃げながらも、ライドは自分の当初の予想が当たっていた事を実感していた。
それはつまり、この遺跡が遥か昔に存在した魔石の鉱脈だという予想だ。
過去と今とで鉱脈に対する坑道の作りが違う理由からわかる事だが、過去と今では鉱脈に関する知識は大きく異なっており、魔力の流れを変えないように無闇に地形を変化させずに魔石の出現を待つ現在の鉱脈とは違い、昔の鉱脈はとにかく先に掘り進めて魔石を探す通常の鉱石を採取するスタイルだった。
それは、地面を掘り進める事で魔石が発見できていたからなのだが、当時の人達は魔力の吹き溜まりが鉱脈を掘り進める事で掘り進める先に吹き溜まりが移動している事に気がつかなかったのだ。
現在ライドが走りまわっている鉱脈も、そうして掘り進めて出来た坑道なのだろう。
そして、恐らく魔道具を使用して掘り進めているうちに、運悪く海岸の洞窟と小さな穴で繋がってしまい、海岸の洞窟に吹き溜まりが移動。そのまま魔石が採掘できなくなり、破棄されて今にいたる……と。
「そ、そこまでは、何となく予想できた
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