暁 〜小説投稿サイト〜
竜から妖精へ………
第10話 フェアリーテイルにようこそ!
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。

 
 そんな葛藤を、ゼクトは感じていた。
 エルザも見せまいとしていたのだけれど、涙と同様に堪え切れる物じゃなかったのだ。

「エルザ…………」

 だから、エルザを見てよく判った。物凄く悔しくて、そして 必死で耐えてると言う事も。


――でも……、何でかな?

 
 ゼクトは、少し疑問に思った事があった。

「(女の子って……そんなに強くなかったらいけないのかな……?)」

 その疑問だった。
 女の子と戦う事には、最初から抵抗があった。それは差別をする、と言うつもりは決してなかったけれど、どうしても、そう思ってしまえたのだ。

 そして、もう1つ、思う事はあった。
 ゼクト自身も、敗れた。ギルダーツとの戦いで負けてしまったから判るのだ。

「その………。エルザ…」

 ゼクトは、堪え続けているエルザを見て、我慢出来ずに声をかけた。すると、ゼクトに負けを宣言した後に、顔を俯かせていたエルザだったが、ゆっくりと顔を上げてゼクトの顔を、目を見た。まだ、その涙は止まる事なく、枯れる事なく、流れ続けていた。

「なんだ……っ?」
「その……悔しいって……思う事って、悪いことじゃない……って思うんだ。その、エルザに勝ったオレが言っても……、エルザに、届かないかもしれないけど……」

 ゼクトはそう言う。

「オレだって……その…ギルダーツに負けてしまったよ。最後には、立つことだって……正直、出来そうにないほどだった。完敗、だった……」

 ゼクトは、ギルダーツとの戦いを思い出しながらそう言った。

「それにさっき、ギルダーツも言ってたけど、オレに目標ができるってこと……ずっと良いことなんだって教えてくれた。だって、オレ…過去の記憶無いから……。空っぽだったから、それを少しでも、満たしてくれて……」

 ゼクトは、少し寂しそうな顔をするが、直ぐに戻してエルザを見る。そして何かを決意したような顔をしていた。

「オレは、もう 皆と戦う事、嫌だ、何て絶対に言わないよ。だって、エルザたちが オレの事を目標だって思ってくれるのなら……オレだってがんばらなきゃって思うから。頑張って、頑張って、オレもギルダーツに負けない様に、次に勝てる様になりたいから」

 そう言って、エルザに笑いかけた。

「っ……そう、だな」

 エルザは……握りこんでいた拳を和らげる。

 ゼクトも自分と、悔しい、と思っている自分と同じだと言う事が判ったんだ。だから、何処か張り裂けそうだった心が柔んだ。

「……私は、今日。お前と言う……ゼクトという目標を知ったんだ。だから、私はきっと…まだまだ強くなれる…。だから……、ゼクト。次は、次は負けないからなっ!」

 エルザは、片方の目の涙拭うと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ