第10話 フェアリーテイルにようこそ!
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た。
そんな葛藤を、ゼクトは感じていた。
エルザも見せまいとしていたのだけれど、涙と同様に堪え切れる物じゃなかったのだ。
「エルザ…………」
だから、エルザを見てよく判った。物凄く悔しくて、そして 必死で耐えてると言う事も。
――でも……、何でかな?
ゼクトは、少し疑問に思った事があった。
「(女の子って……そんなに強くなかったらいけないのかな……?)」
その疑問だった。
女の子と戦う事には、最初から抵抗があった。それは差別をする、と言うつもりは決してなかったけれど、どうしても、そう思ってしまえたのだ。
そして、もう1つ、思う事はあった。
ゼクト自身も、敗れた。ギルダーツとの戦いで負けてしまったから判るのだ。
「その………。エルザ…」
ゼクトは、堪え続けているエルザを見て、我慢出来ずに声をかけた。すると、ゼクトに負けを宣言した後に、顔を俯かせていたエルザだったが、ゆっくりと顔を上げてゼクトの顔を、目を見た。まだ、その涙は止まる事なく、枯れる事なく、流れ続けていた。
「なんだ……っ?」
「その……悔しいって……思う事って、悪いことじゃない……って思うんだ。その、エルザに勝ったオレが言っても……、エルザに、届かないかもしれないけど……」
ゼクトはそう言う。
「オレだって……その…ギルダーツに負けてしまったよ。最後には、立つことだって……正直、出来そうにないほどだった。完敗、だった……」
ゼクトは、ギルダーツとの戦いを思い出しながらそう言った。
「それにさっき、ギルダーツも言ってたけど、オレに目標ができるってこと……ずっと良いことなんだって教えてくれた。だって、オレ…過去の記憶無いから……。空っぽだったから、それを少しでも、満たしてくれて……」
ゼクトは、少し寂しそうな顔をするが、直ぐに戻してエルザを見る。そして何かを決意したような顔をしていた。
「オレは、もう 皆と戦う事、嫌だ、何て絶対に言わないよ。だって、エルザたちが オレの事を目標だって思ってくれるのなら……オレだってがんばらなきゃって思うから。頑張って、頑張って、オレもギルダーツに負けない様に、次に勝てる様になりたいから」
そう言って、エルザに笑いかけた。
「っ……そう、だな」
エルザは……握りこんでいた拳を和らげる。
ゼクトも自分と、悔しい、と思っている自分と同じだと言う事が判ったんだ。だから、何処か張り裂けそうだった心が柔んだ。
「……私は、今日。お前と言う……ゼクトという目標を知ったんだ。だから、私はきっと…まだまだ強くなれる…。だから……、ゼクト。次は、次は負けないからなっ!」
エルザは、片方の目の涙拭うと
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