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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四話 あのフラグが立つのです。
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ルトは答えない。

「・・・・・・」
「お姉様を取り戻しに行こうというの?」
「・・・・・・」

 小さな後ろ姿は微動だにしていなかったけれど、決意はありありと背中に出ていたわ。愚かなことだと思うけれど、でも、とても悲愴で、私には止められそうになかった。

「答えたら、あなたたちを巻き込んでしまうことになるから――」

 小さな声が背中からした。

「ラインハルト!!そんなことを言わないでよ!」

 キルヒアイスが真っ先に立ち上がった。

「そうよ、何言ってるのよ!!私たちは幼馴染じゃないの!!」

 アレーナも立ち上がった。

「どうしてこういう時に黙って出ていこうとするわけ?」
「・・・・・・」
「お姉様を取り戻すなら私たちも戦うわ」

 これにはラインハルトもキルヒアイスも驚いたらしい。ラインハルトはこっちに顔を向けた。

「アレーナ姉さんが?そんな、無茶を言わないでよ」
「言うわよ。それに私たちも全くの非力じゃないわよ。見てたでしょ?喧嘩の仕方を」

 ラインハルトとキルヒアイスは顔を見合わせていた。公園で遊んだ帰りがけに道端で貴族に襲われかけていた若い女性を助けようと、その貴族をわたしとアレーナが袋叩きにしたのをすぐそばで目撃していたからだろうけれど。

「でもね、ラインハルト、あなた個人の力じゃお姉さんは取り戻せないわ」

 私はひたっとラインハルトに目を向けて言った。

「どうして――・・・いや、そうか。イルーナ姉さんやアレーナ姉さんが話してくれたことだね。この帝国には貴族社会があって、僕たちの力じゃどうしようもできないって」
「ええ」
「どうすれば、僕はどうすれば・・・いや、そうか」

 ラインハルトはいったん視線を床に落としたけれど、すぐに顔を上げた。

「力があればいい。貴族、そして皇帝を、ゴールデンバウム王朝も討ち倒せる力があれば!!そのためには軍に入って力をつけ、出世していかなくてはならない。そうなんだね?」
「それだけじゃ足りないわ」

 ここが大事。ラインハルトの今後を左右するうえでの重要な言葉なのだから。私はずっとずっとこの時のために何度も何度も考えていた言葉を紡ぎだした。

「皇帝を倒すまでは非常に厳しい道のりよ。でもね、皇帝を倒して、お姉さんを取り戻して、それで終わりというわけにはいかないわ。皇帝が死んだら、この国はどうなると思う?ゴールデンバウム王朝が滅んだら、今曲がりなりにも穏やかに生活している人たちはどうなると思う?何千、何億という人たちが混乱するわ。あなたはそれを放っておいて逃げるの?自分の目的のために周りを利用するだけ利用して捨ててしまうの!?」

 一瞬ラインハルトの瞳が揺らめく。彼の中には様々な感情、思いが渦を巻いて
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