110章 信也と竜太郎たち、吉本隆明を語り合う
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わせた。
「この前の、しんちゃんの『吉本隆明の芸術言語論についての講演』は、よかったですよ。
おれも、吉本さんには関心が高いよ。
吉本さんの仕事のポイント、重要な所となると、確かに芸術言語論になるんだと思いますよ」
竜太郎が、信也にそう言った。
「あっはは。竜さん、おれの未熟な考えに、お褒めを、どうもです。
まぁ、詩なんていうものは、書こうと思えば、誰でも書けるものですよね。
でも、実際の生活や仕事の役に立つものでもないわけで、子どもが書くならなら、
すばらしいと褒めることもありますが、大人が書くとなれば、
ほとんどの場合、大人が真剣になって取り組むものではないとかで、
ムダなもの、役立たないものとされてしまうわけです。
それでも、日本はまだまあ、世界有数の『詩』を愛する国なんでしょうけどね。
短歌や俳句をやっている人たちも数多くいますよね。
まあ、おれなんかも、親父が俳句をやっていたりして、そんな環境もあってか、
世界の人たちが平和で暮らしやすくなるのには、
みんなが詩人や芸術家になればいいやって、バカみたいなことを、いつも空想している、
まぁ、夢想家なんですよ。みなさん、ご存じのように。あっははは。
まあ、そんなおれなんですけど、そんなおれを勇気づけてくれるような本が、
最近、たまたま読んだ本にあったんですよ。あっははは。
中沢新一さんの『吉本隆明の経済学』という本なんですけどね。
それを読んで、急速に、吉本さんに親近感を持ったんです。
吉本さんは2012年にお亡くなりになってますから、その2年後くらいの本なんですけどね。
中沢さんは、宗教人類学者で、明治大学特任教授もしていて、
『チベットのモーツァルト 』という本では、解説を吉本さんが書いてるんですよね。
まあ、それだけ、思想的にも親密な関係の中沢さんと吉本さんなんでしょうけど。
『吉本隆明の経済学』は、そんな中沢さんが吉本さんの志を継いで、
吉本さんの思想をまとめたような本なんです。
まあ、その本の終わりのほうでは、簡単に要約すると、
≪世の中を良くしていくような、そんな未来の革命の実現は、
人間の脳、つまり心の本質であるところの、詩的構造以外の何物でもない、
言い換えれば、詩や芸術を愛する脳や心こそが、
より良き未来を実現する鍵である≫って言っているんですよね。
おれは、まったく、これしかないだろうな!って、吉本さんと中沢さんの考えに、
深く共感しちゃいましいたよ。あっははは」
「わたしも、共感しちゃうわ。しんちゃん!」
可愛らしいショートボブの、詩織がそう言った。
「わたしも、やっぱり、人間に必要なのは、詩とか芸術とか
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