第3章 リーザス陥落
第89話 想定外の敗戦?
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リーザス解放軍とヘルマン第3軍とのノースの街 近郊での戦いは終結した。
人数こそは、相手側が少数。それでも、戦場の熱の高さは今まで以上。そして強さも今まで以上。それ程の大規模な戦闘にも関わらず、犠牲者の数が少数で済んでいるのは、まさに奇跡だと言えるかもしれない。
――いや、奇跡ではない。
それらを頭の中で考えていた男、リックは 眼前をゆく男の姿を見て、奇跡を否定した。
《彼の強さがあってこその物》だと言う事を、改めて認識したのだ。だが、それは勿論、《強さ》と言うのは、腕っ節、剣の腕、等 戦闘力だけを指すのではない。
――真に強い男は、心までも強い。……心力。心技体全てを兼ね備えている。
彼は、まだ先程の戦闘。……否、決闘の傷が、疲労が抜けきっていないのだろう。まだ、足元が覚束無い様子であり、カスタムの女性達や彼を慕う女性達が傍で支え、治癒を施してくれている。
「……どれ程の経験を積めば、あの領域までいけると言うのだ。齢19にして、人類最強を超える、か」
考える彼の隣で呟くのは、異国の戦士、清十郎。
彼の強さも明らかに群を抜いている。何処の国にも属していない流浪の戦士と言う事を考えれば、それも十分凄すぎる、と言うべきものだろう。だが、決してそれに慢心する事なく、己を過信することもなく、常に上を目指している。だからこそ、強さに本当に貪欲なのだろう。
【自分自身を高め続ける事が好ましい=戦闘好き】
それが本音だと言う事。
「私も同感です。……私も将軍なれど、まだまだ若輩者。心技体、全てに置いて、まだ未熟だと自負しています。……目の前で、これほどの男を目の当たりにする事で、更に思います。――自分は幸福だ、とも同時に。だからこそ、軍務も大切ですが……、私は背中を追い続けます。現行人類最強の彼の前で」
「ふ……、そうだな。上には上がいると言う言葉。まさにその通りだ。強さの上に胡座をかく様な男ではない事も、好ましい」
前に尊敬できる男が、全ての強さをもちうる男がいたから、昇って行ける。
リーザス国 赤将リック・アディスンは、強く、改めてそう感じるのだった。そして、清十郎も同様に。
そんな時だ。
彼らの話を訊いていたのだろう。目の前の彼が――ユーリ・ローランドが足を止め、清十郎とリックの前にまで来ていた。
「オレの事を評価してくれているのは、光栄こと極まれり、と言いたい所だが、《人類最強》の称号? だけは認知出来ないな」
少々恥ずかしそうにしつつ、苦笑いをして、そう言っている。
そんな彼の隣では、神魔法をかけ続けてくれているセルとクルックーの姿があった。
「ゆ、ユーリさんっ! まだ、終わってません。歩く程度ならまだしも、そん
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