第3章 リーザス陥落
第89話 想定外の敗戦?
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また、倒れてしまった時、安心したのと同時に、あの時のことが過ぎって不安だったから。
――男勝りな部分がある志津香だけれど、彼女も、女の子なのだから。
「……失礼な事、考えてない?」
そういった後、ユーリを睨む志津香だったが……。
「? オレはなんにも言ってないぞ」
「……ふんっ」
ぷいっ、と顔を背ける志津香だった。
少々とばっちりを受けてしまったユーリだが、直ぐに笑顔になると、そっぽ向いている志津香の頭を軽く撫でた。帽子をとっている状態だった。街についたし それなりに埃も付着していたから。
「んっ……!」
「確かに、悪かったな。また、心配を掛けて。信頼してない訳じゃないさ。……が、あの場面では ああするしか無かった。……まだ、失う訳にはいかないからな。あれ程の豪傑を」
ユーリは、また軽く笑う志津香の頭を二度程、軽く叩いて答えた。
「……心配はもう掛けない、と言う約束は、すまないが出来ない。……何が起こるか判らない戦闘中は特にだ。ただ、最善のことをする。それだけは保証するよ。……そして、こうやって話せる時には話す様にするよ」
「そう……」
志津香は、少々訝しんだが、それでも笑顔を見せる。
「約束、よ」
「ああ。判った」
話をしている間に、かなみが帰ってきた。
「ユーリさん。あっ、その………えと………」
丁度、志津香とユーリの距離が少なからず近かったから……思わず言葉が出なかった様だが、志津香は慌てて離れた。
「ど、どうだった? かなみ」
それで、慌ててかなみに訊く志津香。
少々苦笑いをしているユーリの足先をしっかりと踏みながら…………。
少々一悶着があって、ユーリの足の痛みもあって……、それが薄れた頃に、かなみから皆へ説明が入った。
「あ、はい。この都市の中には、ヘルマン軍は誰もいませんでした。駐屯していた拠点の様な場所も発見しましたが、無人で、書類の類もありませんでした。ただ、【迎え撃つ】と言う言葉が記されているだけで」
かなみの言葉を訊いて、トーマが嘘を言っていない事が改めて判る。
信じてなかった訳ではないが、最悪の事を想定しないとならないのは当然だ。そのせいで、窮地に立たされてしまえば元も子もないから。
「大多数を、サウスに向けたか……、或いはリーザスへと戻したのか、それは判りませんでしたが……」
「いや、十分だ。ありがとな、かなみ。疲れてる所を」
ユーリは笑ってそう言い、かなみは 慌てて頭を下げた。
「いえっ、大丈夫ですっ ユーリさん! 私も、(いろいろと……)頑張らないと……、ですから!」
ぐっ、と拳を握り締めるかなみを見て、ユーリは微笑み
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