第3章 リーザス陥落
第89話 想定外の敗戦?
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。あ、私に感謝するんなら、形でどーぞ? いつでもどこでも、御寄付、お待ちしております。ヘルマン国にもじゃんじゃん求めます。あ〜めん』
いつも通りに接しているロゼ。それは、ヘルマンの軍隊だろうが、変わりなく、先程まで戦っていた相手、だと言う事も関係ない。その辺は大した精神力、なのだ。
『……主も底が見えぬ、な。測ることの出来ない器の持ち主』
それは、トーマ自身にも見えている様だった。
『人類最強って言われてるアンタにそう褒められてもね〜。女の子としては〜、複雑な気分なのよ〜??』
ロゼは、そうやって躱す。……が、そこはトーマ。年の功と言うより、数多の数の人間を見てきたからこその極地なのだろう。
『……芯の強き女子だ。故に周囲に人が集まるのだな。あの男、ユーリ同様に……』
フザけた風に対応をするロゼを見て、そう言うトーマ。
勿論、そんなトーマが相手でも、中々隙を見せないのはロゼだ。トーマの様な自分よりも遥か上を相手にした事は彼女も何度もあったから。
『なーんの事かしら? 私は、ただ楽しんでるだけよん♪ ま、流石に この戦場はしんどかったわー、何度死ぬかと思ったやら……』
ひらひら、と手を振るロゼ。
死ぬかと思った割には、全くと言っていい程傷が無い。衣服もまるで傷がなく……と言うより、ローブの下が下着と言う、戦場ではありえない姿、奇抜なファッションだから。
《身体に傷が無い=衣服も無事》 と言っていいのだ。
決して、その事をツッコム者などは誰ひとりとしておらず。
『――………感謝する』
トーマは、その後はただ、感謝の言葉を告げるのみで 何も言わなかった。ただただ、穏やかな目をしている事が、ロゼには判る。――色々と筒抜けだろう、と言う事も、何処か思える気がしていた。
『……ほんっと、アンタも色々規格外な男ね。噂に違わず』
『……なに、――半世紀程、生きてきた杵柄。ただ、齢を重ねただけに過ぎん。そして、これからは若い世代の時代だ。色々と、安泰……なのかもしれんな』
『なーに、一気に老け込んじゃってんのよ。まだ、する事、あんでしょ?』
ユーリに敗れたとはいえ、人類最強と名高いトーマ相手にここまで喋れる女子は、ハンティと言う例外を除けば、ロゼだけの様な気がする……と思うのは気のせいじゃないだろう。
『無論。――儂の手で、正さなければならん。あの男が儂の目を覚まさせてくれた。違える事はせん』
『ん。じゃあ、ちゃーんと、代金はそっちのおバカさんに付けとくわ。ちゃーんと、頭しばいて、ケツ叩いて払わせてよねー♪』
ロゼはそう言うと、離れていった。
その後ろ姿を眺めるトーマ。
『流れておる……な』
そう呟くトーマ。
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