第3章 リーザス陥落
第89話 想定外の敗戦?
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な急に、それにあまり動き回るのはやめてください!」
「もう少しの辛抱ですから、動かないでくれると助かります」
2人の説教を喰らってしまって、頭を掻くユーリ。
人々を導く聖職者である2人の言葉は、ダイレクトに頭に入ってくる様で、軽く手を上げた。
「ああ、すまない。…本当にありがとな? 2人とも」
「いえ、私はこれくらいしか、出来ません。ですから、出来ることを全力でするだけなんです。……クルックー様より、学びました。引いては、ユーリさんの言葉なんですよ?」
「はい。私の教養は全てユーリの請け売りですので」
「―――……あ、ははは」
これ程までに、清々しく言葉を返されたのは、随分と久しぶりな気がする。感謝しているのに、感謝し返されることは多いが、問答無用で納得させられ、反論も出来ない。
確かに、クルックーに色々と話をしたり、勝手、とは思いつつも、自分の行動や気持ちを教えたりしている内に、しっかりと身に付けてしまっている。信じたことに一直線な所がクルックーにはあるのだろう。
だからこそ、それが少なからず、ユーリは怖かったのはまた、別の話。
――……彼女が―――この世界の根幹を知る事になるだろう事。
それは、頭の何処かでは判っていた気がしたから。
その時が来るまで、ユーリの中で その部分は飲み込むのだった。
「もう徐々オクの街ですが、まだ時間はかかります。疲労もあるでしょう。少しここで休息する事にします」
リックが、全軍に伝令を伝える。
少し、止めようとしたユーリだったが、『疲れている者も他にもいるだろう。……見守る事も、心労するんだぞ? ユーリ』と、清十郎に諭された。
確かにそれはよく判る。あの戦闘が終わって、暫くはセルやクルックーは勿論、カスタムのメンバーを中心にずっと傍につきっきりだった。
正直な所、何だか気が休まらない様な気もしたのだが、その辺は ユーリは空気を読んだ。
それだけ、心配をかけさせた、と言う事であり、甘んじて受け入れていたのだ。
そして、休息中。
「それで、認知しない、と言うのはなぜですか? ユーリ殿」
腰を下ろしたまま、リックはユーリにそう聞いた。
その隣には清十郎がいた。聞きたい事は同じだった様だ。
「トーマは、全力ではない……とは言わない。あの瞬間のトーマの《目》は、最初とは明らかに変わっていたからな。戦場を楽しむ、戦闘を楽しむ。全てを棄てて――」
ユーリは、そう言うと更に言う。
「あの時のトーマは、生きようとする意思が欠如していた。《何かを守ろうとする意思》と《生きようとする意思》。経験上、それを
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