暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第89話 想定外の敗戦?
[2/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
な急に、それにあまり動き回るのはやめてください!」
「もう少しの辛抱ですから、動かないでくれると助かります」

 2人の説教を喰らってしまって、頭を掻くユーリ。
 人々を導く聖職者である2人の言葉は、ダイレクトに頭に入ってくる様で、軽く手を上げた。

「ああ、すまない。…本当にありがとな? 2人とも」
「いえ、私はこれくらいしか、出来ません。ですから、出来ることを全力でするだけなんです。……クルックー様より、学びました。引いては、ユーリさんの言葉なんですよ?」
「はい。私の教養は全てユーリの請け売りですので」
「―――……あ、ははは」

 これ程までに、清々しく言葉を返されたのは、随分と久しぶりな気がする。感謝しているのに、感謝し返されることは多いが、問答無用で納得させられ、反論も出来ない。
 確かに、クルックーに色々と話をしたり、勝手、とは思いつつも、自分の行動や気持ちを教えたりしている内に、しっかりと身に付けてしまっている。信じたことに一直線な所がクルックーにはあるのだろう。

 だからこそ、それが少なからず、ユーリは怖かった(・・・・)のはまた、別の話。



――……彼女(クルックー)が―――この世界の根幹を知る事になるだろう事。


 
 それは、頭の何処かでは判っていた気がしたから。

 その時(・・・)が来るまで、ユーリの中で その部分は飲み込むのだった。








「もう徐々オクの街ですが、まだ時間はかかります。疲労もあるでしょう。少しここで休息する事にします」

 リックが、全軍に伝令を伝える。
 少し、止めようとしたユーリだったが、『疲れている者も他にもいるだろう。……見守る事も、心労するんだぞ? ユーリ』と、清十郎に諭された。

 確かにそれはよく判る。あの戦闘が終わって、暫くはセルやクルックーは勿論、カスタムのメンバーを中心にずっと傍につきっきりだった。

 正直な所、何だか気が休まらない様な気もしたのだが、その辺は ユーリは空気を読んだ。
 
 それだけ、心配をかけさせた、と言う事であり、甘んじて受け入れていたのだ。

 そして、休息中。

「それで、認知しない、と言うのはなぜですか? ユーリ殿」

 腰を下ろしたまま、リックはユーリにそう聞いた。
 その隣には清十郎がいた。聞きたい事は同じだった様だ。

「トーマは、全力ではない……とは言わない。あの瞬間のトーマの《目》は、最初とは明らかに変わっていたからな。戦場を楽しむ、戦闘を楽しむ。全てを棄てて――」

 ユーリは、そう言うと更に言う。

「あの時のトーマは、生きようとする意思が欠如していた。《何かを守ろうとする意思》と《生きようとする意思》。経験上、それを
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ