妖精および乳児との接触記録
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個体番号1番:恐らく。
だが無理には聞かないで欲しい。
伊賀崎:分かった。
質問に答えてくれてありがとう、今日はこのぐらいにしておこう。
個体番号1番:ちょっといいか?
伊賀崎:どうした?
個体番号1番:今日の夕食について聞いた。
ピーマンはやめてくれないか?
伊賀崎:それはちょっと難しいな。
<個体番号1番は苦悶の表情を見せる>
個体番号1番:解せぬ。
記録終了
聴取記録─1936年6月20日
露木研究員による聴取が行われました。
対象者:乙姫および妖精 個体番号1番
個体番号1番にはコミュニケーションの手段として紙と鉛筆が提供されます。
露木:少し質問させてね。大丈夫かな?
乙姫:いいですよ。
個体番号1番:問題ない。
露木:聞きたいのは蒼太郎君について。
彼の事について教えて欲しいの。
乙姫:蒼太郎は私の妹の息子になります。
日本語だと"甥"で良いんですよね?
露木:そうね、その通りよ。
乙姫:蒼太郎は私達の世界で生まれました。
程なくして私達は追い詰められこちらに来ました。
個体番号1番:我々は妹君から蒼太郎を任された。
露木:妹さんの事は聞いたわ。
個体番号1番:妹君は実に勇敢だった。
露木:彼の父親について聞きたいの。
教えてくれる?
乙姫:最初に彼に会った時はとても混乱していました。
名前はヒブワ ソウジと言っていました。
露木:ヒブワさんはどうやってそちらに?
乙姫:"亀裂"から迷い込んできたんです。
今思えば日本語を喋っていましたしここの世界から来たのでしょう。
異世界の住人に懐疑的な者もいましたが私達は彼を助けました。
露木:言葉は大丈夫だったの?
個体番号1番:我らにかかれば造作もない。
乙姫:そうね。あの時のmiθra?dir(※1)はとても頼もしかったわね。
私もそのときに少し覚えたんですよ。
(※1)憶測の域を出ませんが"歩き回る"、"彷徨う"の意。
乙姫は個体番号1番を呼ぶのにこの名称を使います。
個体番号1番:異世界の言葉は興味深い。
だが大変だった。
露木:まぁ、コミュニケーションは問題なかったようね。
ヒブワさんと妹さんの関係はどうだったの?
乙姫:妹はとても心優しかった。
ヒブワさんのお世話もしていたから仲良くなるのにそう時間はかかりませんでした。
露木:彼は今どこに?
乙姫:残念ですが亡くなりました。"最後の時"に……。
個体番号1番:彼もまた勇
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