二項目『なぞなぞ ー終わらないお茶会ー』
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緒になって物語の続きを紡ぐ。 二人がくるくると回るのに合わせ、周囲を色とりどり光が舞い、乱雑なピアノの音が響く。
ーー止まった時計の針が進み、終わらないお茶会が終わったわ
ーーさぁ、みじめなウサギを助けましょう!
ーーバットエンドは懲り懲りよ
ーー素敵なエンドで飾りましょう!
またしても、謎めいた歌詞が唄われ、同時に本日三度目となるクエストメッセージが目の前に出現する。
『名無しの森へ行きましょう。そこでは人はただの人、そこでは鳥もただの鳥。貴方はだぁれ? わたしはだぁれ? 帰り道を忘れずに、さぁ、名無しの森を抜けましょう!』
「な、名無しの森……?」
メッセージを覗き込む二人は揃って声を上げる。だが、驚くのも束の間、パラパラと本のページがめくられる音と紙が吹雪のように舞い二人の視界を一時的に塞いだ。 そして、視界が戻ると再び驚愕の声を上げた。
「う、嘘!」
「み、湖とお茶会場が……!?」
先ほどまで陽の光を受けキラキラと輝いていた湖とテーブルやティーセットなどが忽然と消え失せ、ユーリ達の目の前には暗く重苦しい空気が漂う森の入り口がポッカリと開いていた。 唖然とする中、両サイドにカサリと草を踏む音が響き我に返るとそこには、お茶会の参加メンバーの帽子屋と時計ウサギがそれぞれ武器を手に佇んでいた。
「お茶会は終わった。 ならば、行こう。 わがまま女王に首切り刑を宣告された哀れなうさぎを助けにね……」
よれたスーツに、細剣を彷彿とさせる銀の十字剣を帯刀した帽子屋が言うと、それに続いて木製の棍を肩に担いだ時計ウサギが忌々しげに呟いた。
「はっ、その前にこの森を抜けちゃならんだろうが! 獰猛な魔物に、イカれた奴らが跋扈するこの森をな!」
ユーリの目の前にメッセージウインドウが現れ、『Mad Hatter』と『Watch』がパーティー加入しましたと表示される。 突然のメンバー増員に呆気に取られていると、仲良く手を繋いだ白と黒の少女が前に立ち、微笑みかけた。
『悲しい話は懲り懲りよ』
『ハッピーエンドで終わらせましょ!』
『不思議な森へと踏み入れて……』
『お城へと向かいましょう!』
すると少女二人のアメジストのような澄んだ瞳がユーリへと向けられる。
『恐いお化けに、恐ろしい怪物!』
『けど、大丈夫! お兄さんなら、楽勝よ』
そして、シイへと向き直り……
『名無しの森は恐ろしいわ……!』
『けど、大丈夫! お姉さんなら、ちょちょいのちょい!』
最後に二人の顔をしっかりと見据え、高らかに宣言した。
ーー名無しの森を抜けましょう!!
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