二項目『なぞなぞ ー終わらないお茶会ー』
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ルのような武器。 ランスだ。 鈍い銀色の光を放つそれを見て、二人の少女の瞳が驚愕にまんまるに開かれる。
「さ、お口あーんしましょうね〜。 痛かったら、右手を挙げてくださいね〜」
「「ひぃぃぃ!!?」」
少女の小さなお口には不釣り合いな程大きな歯科ドリルを片手に迫ると二人は揃って悲鳴を上げた。 事案である。
「歯医者さんが嫌なら、お茶会を終わらせよっか?」
「ひ、ひどいわ! あんまりだわ!」
「こういうのは、脅迫っていうのよ!?」
ワザとランスを日光を浴びせ、ギラリと光らせると少女二人が抱き合い震えた。
「お、おお茶会は謎を解かない限り、終わらないわっ」
「そ、そうよ! 時計の針が止まってるからお茶会も終わらないのよ!」
「へぇー……だってさ、ユーリ」
ニヤリと会心の笑みを此方へと向ける。 かなり正解に近いヒントを貰い、解答が解らないはずもなくユーリも笑みで返した。 一応、確認のためメニューを操作し時計を表示させるとそれは午後4時を表していた。 一方で、ユーリ達がクエストのため家を出たのは1時頃。お茶会をしていた時間は多く見積もっても一時間ほど。つりあわない。
さらに、午後4時というのは『不思議の国のアリス』が書かれたイギリスでは午後のお茶の時間『ミッド・ティーブレイク』に相当する。
「つまり、午後4時のままだから終わらないお茶会ってわけね……」
謎が解け、後は終わらせるだけとなる。 椅子から立ち上がると、スコーンに齧りついていた時計ウサギの所まで移動するとそれを抱え上げた。 案の定、首には金色のチェーンが掛かっており、その先は紳士服の中へと続いている。 鎖を引っ張り上げると先からは短針が4、長針が12で止まったままの金時計が姿を現した。
さて、この針を動かしてお茶会を終わらせてやればいいのだが……。 不意に双子と目が合い、お茶会に未練があるのか涙で潤んだ瞳で一心に見つめられて良心が少しばかり痛む。 そんな時、肩にランスを担いだままのシィがポツリと呟く。
「……虫歯」
「「っ!!?」」
……罪悪感しかない。
これ以上は、色々と可哀想なので終わりにしようと思い、指を長針へと添えて適当な位置まで動かす。 すると、時計がチッチッチと音を刻み始め、少し遅れて上空に黄金の光が弾け、壮大なサウンドが響いた。どうやら、第二関門突破ということらしい。 一方で、アリス達は肩を寄せ合い、シュンと縮こまっていた。
「うぅ……ひどい目にあったのだわ」
「そうね、あたし。 けど、次のお話はお茶会より楽しいわ!」
「そ、そうねあたし! きっと素敵な出会いがあるわ!」
機嫌を直したありすとアリスは互いの手を取り合い、一
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