二項目『なぞなぞ ー終わらないお茶会ー』
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時計ウサギを追いかけ、見知らぬフィールドに降り立ったユーリとシィは白の少女『ありす』と黒の少女『アリス』に導かれるように道を進んでいた。
「ここは不思議の国よ! 」
「とってもヘンテコリンなのよ!」
ユーリ達が進む先では、上機嫌の白と黒の童女が鼻唄を口ずさみながら、歩く後ろ姿を眺めていると、シィが意を決して話しかけた。
「ねぇ、此処はどこなの?」
コテンと揃って首を折ったアリス達は彼女の言葉を聞くために止めた踊りを再開し始める。 クルリクルクル。 楽しそうに踊る彼女達は謳うように言葉を紡ぐ。
「あたし達は、不思議な国って呼んでるわ」
「立って歩くイカれたウサギがいるわ!」
「頭の可笑しな帽子屋もいるわ!」
「意地悪な赤い王女様がいるわ!」
「恐ろしい怪物もいるわ!」
がおーっ!と黒いアリスが脅かすと、白いありすはキャーと楽しそうに叫んだ。 あはは、ウフフと笑いながら息のあったステップを踏む彼女達は本当にそっくりで服の色でしか見分けがつかないほど。 ユーリが少女二人に訝しげな視線を送っていると、袖を引かれて、シィにそっと囁かれた。
「……ねえ、二人ってクエストNPCみたいなやつなのかな?」
「どちらかというとパターン化されたNPCより、高度なAIな気がするけど……」
と、そこまで言いかけて止めた。 三歩ほど前を歩いていた白黒の少女がこちらを見て、頬を膨らませていた。 どうやら何かが気に入らなかったらしい。 二人は怒っててもなお、息の合った調べを唄う。
「失礼しちゃうわ、お兄さん。 あたしは、ありす。 〈えーあい〉なんかじゃないわ!」
「そうね、あたし。 あたしは、〈えぬぴーしー〉なんかじゃないわ、お姉さん!」
そう言うと手を取り合い、クルクルとステップを踏み始める。
「あたしは、あたし」
「あたしは、あたし」
「あたしたちは、二人で一人」
「いつも一緒なの!」
そして、彼女達が踊るのをピタリと止めると、燦々と輝く陽の光が差し込み、森が開けると眼前には光を浴び、キラキラと水面が輝く湖畔が広がっていた。 二人の少女は手を取り合い、まるで呪文を唱えるかのように謳う……
「ようこそ、あたし達のお茶会へ!」
「いらっしゃい、あたし達のお茶会へ!」
謳うように言葉が紡がれると周囲が光に包まれ、視界が晴れると湖畔には真っ白なテーブルクロスを敷かれた大きなテーブルが現れた。 そして、ユーリ達の目の前に新たなクエストメッセージが出現する。
『あたし達は永遠よ。 美味しいお菓子に、温かい紅茶、可笑しな帽子
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