3部分:第三章
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「おう、景気付けだ」
「それで厄払いかい?」
「それもあるな。とにかく酒だ」
「それはいいが気をつけるんだな」
医者はそんな彼を止めることはなかった。
「一度倒れたからわかっているとは思うが」
「ああ、こいつやガキ共の為にもな」
彼は言った。
「もうそれはしねえよ。安心しときな」
「そうか」
「ああ、やっぱりそれはわかったさ。それでな、シズ」
「何だい?」
「これからはメチレンはやらねえ。無茶もしねえからな」
「そうあって欲しいねえ」
「しかしまあ何だな」
彼はそのうえで俯いて述べた。
「今回も運に助けられたさ」
「全くだ」
最後に医者の言葉が部屋の中に響いた。繁太郎の運のよさを示す話であった。戦後最高の博打打ちと言われた彼の逸話の一つであった。迂闊な逸話であったが。
おとそ 完
2006・11・6
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