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俺の四畳半が最近安らげない件
クリスマス 怪老人編 〜小さいおじさんシリーズ5
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期、市場からおもちゃが減るらしい」
「やはり…奴か」
「おう、奴かと」
「ほほう、貴方たちがこの怪人物の正体に心当たりがある、と」
平静を装い、白頭巾がゆっくりと羽扇を動かす。…何だ、こいつ意外と分かりやすいな。
「左慈……だな」
「左慈と!?」
白頭巾が固まった。今必死に脳内データバンクをさらっているようだ。
「貴様は知るまい。あの老怪は不思議と、蜀には出なかった」
左慈を知らない白頭巾を揶揄うでもなく、豪勢は油断なく辺りを見渡した。
「物の怪の類ですか」
「あれが物の怪でなければ、何が物の怪だというのか…」

端正が何かを思い出したように肩を震わせる。
「なんと、呉にも出たのですか」
「呉にとって『道士』は鬼門なのだ。うちの小覇王は2度、道士に化かされ、最後には呪い殺されている」
「于吉道士の件ですな…孫策殿も…なぁ…」
「うむ。…卿に同意するのも業腹ではあるが、あの気性では…。長生きはしない、とは思っていたが」
二人とも、どうにも歯切れが悪い。うろ覚えだが、孫策って赤壁始まるよりずっと前に、罪のない道士を処刑して呪い殺されていたような。
「なんと、孫策も奴に化かされていたのか!」
豪勢が呻く。
「あいつの迷信、道士嫌いは異常だった。だから超常の力を売りにする仙人道士の類は片っ端から狩っていたのだ。左慈もその対象だったが…」
端正が、肩をすくめる。
「奴は于吉の比にはならない使い手でな。散々揶揄われた上に逃げられた。その経験が奴の道士嫌いに拍車をかけたのかもな。…呪いなど本気で信じているわけではないが、于吉道士の信者には恨みを買ったことだろう」
「はぁ…」
ため息交じりに、しかしどこか懐かしむように端正の述懐は続く。
「直接ではないにせよ、奴の死の一因くらいにはなっているかな、確実に。本当に…気が短いというか軽率というか」
「彼といい貴方といい、呉の土壌にはカルシウムが足りていないのでしょうねぇ…」
刀に手をかけた端正を押し戻し、白頭巾を睨み付ける。
「争っている場合か!…見ろ、12時を過ぎたぞ。どうだ、タイミング的には」
「クリスマス・イブからクリスマスになったわけだな。いかにも出そうなタイミングだ。…おい、なにか聞こえないか」
三人が一斉に押し黙る。俺も耳をすます。…気のせいか、しゃわしゃわと布がひしめき合うような音が聞こえる。これは、一体どこから…
「安い布がこすれあう音だ。…俺の耳に間違いはない」
「そちらです、その扉方向から…!」
白頭巾が羽扇で押入れの方向を示した。襖が小刻みに震えている。これは…まさか。
「教えてくれ、左慈は一体、卿の国では何をしたのだ」
「ぐぬ……」
全員が注視する中、豪勢は渋々口を開いた。
「手に入るはずのない魚や生姜をいとも簡単に出してみせた。
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