クリスマス 怪老人編 〜小さいおじさんシリーズ5
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の男、振られているぞ!?本当にこんなのを歌って盛り上がるのか?」
「お待ちなさい。振られたと断言するのは早計。『きっと』君は来ない、と云っているではないですか」
白頭巾が羽扇を口元に充てた。…どうやって他の二人を虚仮にしてやろうかと考えてるときの仕草だ。最近、読めてきた。
「雨が夜更け過ぎに、雪へと変わった辺りで彼女が現れないと、誰が云い切れましょう」
「馬鹿者が。真の論点はそこではない!」
端正が鼻をふんと鳴らす。そしていつものように、コピー用紙を壁に貼り付け、即席のホワイトボードを作る。そして
・雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう
・街角にはクリスマス・ツリー 銀色のきらめき
とか書きだした。…うわ、また白頭巾の思うつぼに物事が動き始めたよ…。
「この歌詞から想像される状況はだ。この男は街角…即ち屋外で女を待っているのだ」
端正の声は、いくばくかの義憤を含んでいる気がする。
「夜更け過ぎには雪へと変わりそうな、冷たい雨の中で、夜更け近くまで!」
バン!とホワイトボードに拳を叩きつけ、端正は続けた。
「雨降ってるんだぞ!?行かないにしても遅れるにしても、常識で考えたら連絡はしないか!?スケジュール的に微妙だというなら、長居しても差し支えない屋内で待ち合わせるとか!!この男、確実に翌日熱出して寝込むことになるぞ、待つほうも待たれるほうも迂闊にも程があろう!!」
髪を振り乱し、拳を振り上げながら力説する端正。…本当にこいつ、そういう、きちんとしてないのが嫌いだよな…
「なに、こ奴は自業自得よ。大の男が女如きに約束をすっぽかされてなにをぼんやり突っ立っておるのだ」
豪勢が舌打ち交じりに呟く。
「余なら5分待って来ない時点で実家を焼き打ち、そして余の女になるか死かの2択を迫るわ。余と約束を交わしたものは、遅くとも30分前に来い!」
な、なんちゅう恐ろしい2択だ。
「時代も、国すらも違うのです。…価値観とは、移ろうものなのでしょう…そして私たちは、そのただ中に放り出された」
羽扇の影になって、奴の顔は見えない。
「そして彼らがクリスマスに、この歌で盛り上がるという事実。貴方がたには訳が分からないかもしれませぬが」
何を言い始めたんだこいつは。
「このキリストと何の繋がりがあるのか全く分からぬ電球で光る木と、どれだけ違いがありましょう…」
お前…クリスマス黙殺予定だった俺に余計な支度させておいてなんだその言いぐさは…
「さあ、歌ってみましょうか。この異様な盛り上がりの謎が掴めるかもしれませんよ」
「いやしかし」
「試すこともなく批判をするのですか。貴方らしくもない。クリスマスという行事に一番興味を示していたのは、貴方ではないですか」
「ぐぬ…」
端正と豪勢は何か言いたげにしていたが、白頭巾が再
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