貴方のための物語
一項目『追いかけっこ ー時計兎を追いかけてー』
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地面へと伏したままのユーリは隣に腰掛ける相棒に恨みのこもった視線を送る中、シィは興味深そうにキョロキョロと見回していた。 視線攻撃は無意味と判断すると、よっこいせと立ち上がり、伸びをしつつ辺りを確認する。
背後には一本の巨木が佇み、幹には大きな穴がぽっかりと口を開けているのを見るに先のスライダーの出口が巨木へと繋がっていたと思えた。 そして、視線を後方から前方へと、向けると両サイドは木々に挟まれた一本の道が続いていた。 どうやら進むしか選択肢はないようだ。
「ここ、何処だろうね」
「たぶん……何かのクエストのインスタントエリア内だと思う……」
言いかけた時、草原に来た時、穴の中を転げた時に聴いた声がまた響き、咄嗟に声のする方を睨みつけた。
『来たわよ、あたし』
『来たわね、あたし』
一本道の先、いつの間にかそれぞれ白と黒のゴシックドレスを着た二人のそっくりな少女が佇んでいた。 『アリス』と呼ばれた黒い少女と『ありす』と呼ばれた白い少女は、ユーリを指差すと口々に言葉を洩らした。
『けど、あの犬のお兄さん、凄く目つきが悪いわ。 怖いわ、あたし』
『だいじょうぶよ、だってあたしがいつも側についてるもの』
『ありがとう、あたし。 それじゃあ、お茶会に誘いましょう?』
『そうね、あたし。 美味しいお菓子と温かい紅茶が待ってるわ』
話を区切ると、歩きながらユーリ達へと近づいてくる。 そして、目の前へと来ると立ち止まり、スカートの裾を摘みながら一礼する。
『こんにちは、犬のお兄さん、赤いお姉さん』
『いらっしゃい、犬のお兄さん、赤いお姉さん』
白と黒の少女との出会いにより、ユーリ達の不思議な冒険の幕が上がる。
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