貴方のための物語
一項目『追いかけっこ ー時計兎を追いかけてー』
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くか、謎クエスト!」
「おー!」
コラルの家にやる気に満ちた声が響いた。
??
それからおよそ10分後、戦闘を見越して一応準備した二人は件の草原エリアへと足を運んでおり、 髪が顔にかかるのを気にする様子もなくシィは目一杯に体を伸ばして、風が吹き抜けるのを楽しんでいた。 そして、満喫した様子の彼女はユーリへと振り向きーー
「ホントに……なんっにも、ないね!!」
「そうだな」
半ばやけっぱちになってる彼女をドードーと宥めつつ、辺りを見回す。 だが、「私は馬かよ?!」と叫ぶ阿保以外に特筆すべき物はない。
「馬というか、馬鹿だろ」
「酷っ!?」
他愛もないやりとりを交わしていると、不意に強く吹いていた風が止んだ。 何事か、思い注意を巡らしていると鈴の音色のように澄んだ声が草原へと響いた。
「な、何事っ!?」
「シッ……、静かに!」
慌てる相棒の口を抑えて黙らせつつ、声へと意識を集中させる。 それは二人の少女が唄う調べだった。
ーー越えて越えて虹色草原
ーー終わらないお茶会を終わらせて
ーー名無しの森を抜けましょう!
ーーさぁさ、みじめなウサギを助けましょう!!
歌い終わると同時にユーリたちのへの前にメッセージウィンドウが表示され、今朝聞いた文面と全く同じ言葉の羅列が並んでいた。 初めの一件以来、発生しなかった現象が目の前で起こり、二人に喜びと同時に緊張が走る。
隣で目に見えて狼狽える相方を見やり、ふと脳裏にあることが浮かんだ。
「……ど、どうして」
「なぁ、シィ。 もしかしてさ、ここにきたプレイヤーって男女のペアか……もしくはパーティ内に女性が居たんじゃないか」
シィはえっ、と目の見開き、次いで首を縦に振った。 思わずニヤリと笑みが溢れた。
「……ひとつめの謎が解けたか」
「なるほど……男女が揃ってとか、性格悪過ぎでしょ〜」
《ソードアート・オンライン》において女性プレイヤーは男性プレイヤーに比べて極端に少ないため、条件が満たされる確率は極めて低く、加えて何もないような場所に暇を持て余したプレイヤーが、理由も無しに女性プレイヤーを連れて行くとは思えない。なかなか二例目が上がらなかったのも頷ける。
しかし、ほぼ偶然だったが無事条件を満たし、クエストが発生したはいいが、その先がサッパリ読めない。 考えている間にも、二人の少女が奏でる唄は遠く、小さくなっていく。
ーー越えて越えて虹色草原……、駆けて駆けて時計ウサギ……
「くそ……! シィ、走るぞ」
「えっ、ちょっと……?!」
毒吐くと相方の手を取り、走り始める。 慌てて着いてくる相方を他所に意識を前方へと集中させる。 そして
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ