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ソードアート・オンライン 神速の人狼
貴方のための物語
一項目『追いかけっこ ー時計兎を追いかけてー』
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ーー越えて越えて虹色草原

声の調べに合わせ、草花が揺れ……

ーー終わらないお茶会を終わらせて

カチリ、カチリと金時計の針が音を刻み……

ーー名無しの森を抜けましょう!

鬱蒼とした森の木々がざわめき……

ーーさぁさ、みじめなウサギを助けましょう!!

ひときわ高く、少女の声が響きわたった。




「……クエスト?」
「そう! なんかね、内容がよくわからないんだって……!」
「なんだ、そら」

ソファの隣に腰掛けた相棒のシィの物言いに呆れていると、彼女がキラキラと顔を輝かせながら、『よくわからない』クエストとやらの内容を語り始める。

話の舞台は第12層の『七草草原』。通称『虹の草原』と呼ばれるフィールドで、名称の由来は時間帯によって草花の色が七色に変色するから、らしい。 もっともそれはあくまで色が違うと意識して見た場合であって、前述の通り色の変化はかなり微妙で、特別に何かあるわけでもないただ広いだけのフィールドなのだ。

そして、話はそこに偶然プレイヤーが足を運んだ事から始まった。

曰く、突然どこからともなくあどけなさの残る少女の声が聞こえて来たと思ったら、目の前にクエストメッセージが表れたらしい。

そこまで話すとシィは一旦話を切り、淹れた紅茶を一口飲んとホッと一息ついた。 初めはどうでもいいと思っていたが、話を聞くうちに不思議な現象に興味が湧いて来て、気づけば彼女に続きを急かしていた。

「で、そこには何が書かれてたんだよ」
「ん〜と、ちょい待ち」

マグカップをテーブルに置くと、メッセージ画面を開き、カンペを見ながら続きを語り始めた。

『越えて越えて虹色草原!駆けて駆けて時計ウサギ!クルクルクルクル廻るドア! 行き着く先には、美味しいお菓子と温かい紅茶! さぁ、一緒に遊びましょう?』

なんとも不思議な詩だった。 恐らく何かの謎かけなのだろうが、唯一、詩中の『虹色草原』は、12層のフィールドだろうとは、推測が出来ただけでその他がサッパリだ。 解答を求め、隣を向けばどうやらシィも意味不明らしく困った顔をしていた。

「こんな謎かけみたいなの、暇な奴らが解いてんじゃないのか?」
「んにゃ……それが全然。 ていうか、メッセージが表示されたのは一度きりで、謎を解いた人は疎か、何かあったっていう情報はないよ」
「……マジか」

思わぬ返答に頭を抱えた。 だが、同時にその謎クエストに対する興味が俄然湧いてきた。 俺が興味を持った事を察するとニヤッと口角を上げた。 どうやら、こうなる事を見越していたのだろう。 向こうも乗り気なら、行動は早い方がいい。 ソファから立ち上がると、相棒へと話しかけた。

「行
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