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龍が如く‐未来想う者たち‐
冴島 大河
第一章 刑期中の悲報
第六話 あの人
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の考えを頭に巡らせる。


「東城会の未来を考えているなら、今6代目を引きずり下ろすべきだと俺は思いますよ」
「……無理に引きずり下ろしてまで東城会のトップになった奴がおったら、それは本当の東城会の終わりなんやろうな」
「何っ?」


拳を握り、冴島は宮藤に向き直る。
まるで餌を狩る獣の様な、恐ろしい目つきを見せた。


「東城会の未来を託せる奴は、6代目自身が決めることや。俺らがそれを、奪う権利はあらへん」


今度は、冴島が拳を振るう。
宮藤は守る素振りを見せず、逆に立ち向かってきたのだ。
交わる拳は、同時に互いの顔面を突き刺す。
しかし、威力は冴島が上だった。
宮藤の身体は吹っ飛ばされ、2回バウンドした後うつ伏せの状態で地面に倒れこむ。
顔面に食らった冴島もまた、後ろに吹き飛ばされ地に尻餅をつく。

予想外の威力だった。
奴の拳から繰り出された威力は、体格のいい冴島を吹っ飛ばす勢い。
細い体から出された拳とは、到底思えなかった。

呆然とする冴島の前で、ゆらりと宮藤は立ち上がる。
口から垂れる血を拭い、小さく笑った。


「冴島さん、貴方は本当面白い男だ……」


時計をまた確認し、首を横に振る。
その顔は、とても残念そうだった。


「残念ですが、仕事の時間なのでこれで……。先程の件、考えておいてください」


宮藤はその場を立ち去ると同時に、神室町の人々が姿を現す。
今まで殺風景だったミレニアムタワー前は、あっという間に人で埋め尽くされる。
冴島はその道の真ん中で、呆然と立ち尽くしていた。

東城会の未来、そして7代目。
大吾の口から、7代目の者の名は聞いた事はない。
果たして6代目は、バトンを託す者を決めているのか……。

今は、それだけが頭に浮かんでいた。
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