古代遺跡
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私が連れてこられたのは暗くて汚い遺跡の牢屋だった。
「おらっ!ここに入ってな!」
男は乱暴に私を突き飛ばすと、牢屋の鍵を閉めた。
「出しなさい、この無礼者!」
牢を掴んで必死に叫んだけど、男達は私の事なんか全く気にしないでさっさとその場を離れていった。
「私をここから出しなさい!出しなさい!出しなさい!出し……なさい……!」
何度も牢を叩いて大声を出しても、男達は戻ってこなかった。
「出し……なさい……!出し……な……さい……!出……して……。出して、ここから出してよぉ……!」
情けない事に気がついたら私は牢から出るのを諦めて、声を上げて泣き始めていた。
早くラインハット城に帰りたい。もうイタズラもしない。だから早く城に帰して欲しい。
「助けて……!」
ここは嫌だ。暗くて怖い。
「誰か、助けてよぉ……!」
そうやって助けを呼んでも誰も来てくれなかった。
結局私は一人ぼっちだ。
お母さんが死んで、お父さんが仕事ばっかりするようになって私を見てくれなくなった。
お父さんの再婚相手のお義母様はデールの事ばかり可愛がっていて、私の事を嫌っていた。皆の気を引こうと色々イタズラをしていたけれど、余計誰も私を見てくれなくなった。
私はここにずっと閉じ込められる。そして、一人寂しく、この暗くて湿気ている牢屋の中で死んでいくんだ。
そう思っていたところにパパスとリュカがやってきた。
「大丈夫ですか、姫!今お助けします!」
パパスは驚く事に、牢屋の扉を手の力だけでこじ開けて牢屋の中に入ってきた。
「さぁ、私達と一緒に脱出しましょう!」
パパスがそう言って手を差し伸べてきたけど、私はとても欲しかったはずのその手を取らなかった。
いや、取らなかったんじゃない。取れなかったんだ。
どうしようもない程小さくて変な意地が私がその手を取る事を防いでいた。
だから、私はこんな言葉を言ってしまった。
「今更助けに来たって私は城に戻るつもりなんてないわよ。どうせ私よりもデールが王位を継ぐ方が皆喜ぶでしょうから」
それを言った瞬間、頬っぺたに鋭い痛みが走った。そして何で痛いかわかるのに少し時間がかかった。
パパスが私の頬っぺたを引っ叩いたんだ。
更にパパスは私の肩を掴んで怒鳴った。
「姫様!貴女のお父上が貴女に対してどのような想いを抱いていたのか考えた事はあるのですか!?」
その時のパパスの顔はとても怖かったけど……でも、瞳には悲しさがあった。
その瞳を見て、その言葉を言われてしまった私は黙るしかなかった。
「……とんだご無礼を致しました。しかし、今はここから出るのが先決です。姫様……」
「わか
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