疾風迅雷
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まあ、幸いなことにあいつの本職は拳による格闘術。ある意味、超近距離戦闘型のあいつと雷電の相性は良い。少なくとも身体が壊れることはないよ。なんたってキリト以上にSTR極振りした様な男だからな」
シオンは目の前で戦う男の背中を見ながらそう言った。その背中に、拳に、迷いは感じられなかった。
『そりゃあれだけ強力な力を身体のリミッターを外して使っていれば、いくら丈夫なヤツでも発動後はしばらくは動けなくなるよな・・・。パンチ一発で自分の腕が消し飛ばないのが不思議なくらいだ・・・』
「さすがに固いな・・・」
「フンッ、小虫にしてはやりおるのぉ」
シュタイナーは内心焦りがあった。いくら雷電によって強化された身でも限界がある。時間が来れば自分はもう動けなくなる、それが彼を焦らせた。そしてそれは戦いにも響くこととなる。
「しかし・・・」
スリュムは大きく息を吸い込み強力な氷ブレスを放つ。シュタイナーはそれをかわそうとするが、身体にラグが生じ、一瞬遅れた
「クッ!?」
「まだまだ甘い小童よォ!!」
「しまっ・・・!」
動きを封じられたシュタイナーにスリュムの豪腕が襲いかかった。その衝撃は凄まじく、フィールドは砕け、その亀裂は四方へと広がっていった。
あれ程の攻撃力、まともにくらえば大ダメージは免れない。その場にいた者は勝負が決まったかに見えた。
ある男を除いては、
「いつまで床に引っ付いてるつもりだ?」
「シオン・・・」
「ったく。こっちはクッソ重い豪腕を背にしてるってのに」
シュタイナーの目の前には大きめの盾を背に攻撃をガードしているシオンの姿があった。
盾は辛うじて攻撃を防いでいるものの、今にも破壊されそうな状態である。
シオンはそんなことを気にせず話した。
「お前は昔からそうだった、優しい故に本気になれない。それがお前の長所であり、欠点でもあった。だからいざという時に判断が遅れる。でも・・・」
シオンは口角を上げ無理やりな笑顔を振りまいた。
「それを貫いて何が悪い。自分の長所を伸ばして何が悪い。甘い?上等じゃねーか、“ヒーロー”ってのは皆甘いんだよ!」
拳を盾で強引に払うとスリュムは思わず後ずさりをする。
「知ってるか?ヒーローはな、誰よりも守るもんが多いし、宿命も背負ってるし、そういう面倒くせえ星の元に生まれたような奴らなんだよ。でもな、それがあるから強いんじゃねぇか」
シオンは剣を取り、ゆっくりと重い足取りで歩みだす。だが、その歩みには力があった。
「行けよ、シュタイナー。お前の信念を貫いてこい!」
その言葉に押されるようにしてシュタイナーは立ち上がり、シオンの隣に並ぶ
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