第73話
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いにイリーナが静かに答えた。
「……民に”国境”はありません。私とリウイは”皇族”として助けられなかった方達が安らかに眠れるように参らせて頂きました。」
「……私はアーライナ教の神官長として、毎年リウイ様と共にこちらに来ております。」
「……同じく私もイーリュン教の神官長として、癒せなかった方達が安らかに眠れるように、毎年来ております。……私達も花束を供えてもよろしいでしょうか?」
「あ、ああ。」
そしてイリーナ、ペテレーネ、ティアはそれぞれ花束を供え、リウイを含めたイリーナ達は黙祷した。
「………失礼ですが貴女は?」
黙祷が終わった後、モルガンはイリーナを見て尋ねた。
「……初めまして。私の名はイリーナ。リウイの正妃です。」
「なっ!?こ、これは失礼しました!リベール王国軍所属、モルガンと申します!………それにしても何故、今までリウイ陛下と共にお姿を現さなかったのでしょうか……?」
イリーナに会釈され、イリーナの身分を知って驚いたモルガンは敬礼をして自己紹介をして、イリーナに尋ねた。
「……イリーナは最近、俺の正妃になったばかりだ。この事を知っているのはマーシルン家の者達と一部の者達だけだ。式もまだ挙げていないし、知らないのも無理はない。」
「な、なんと、そうでございましたか……!この場にはいないアリシア女王陛下に代わり、祝福の言葉を贈らさせて頂きます……!ご結婚、おめでとうございます……!」
「ったく。墓地でそういう固い事はやめろよな……」
「あ、あはは………」
リウイの説明を聞いてリウイとイリーナに賛辞の言葉を贈るモルガンを見たアガットは呆れて溜息を吐き、ティータは苦笑していた。
「アガットさん。……プリネから話は聞きました。私達が間に合わなかったせいで妹さんを亡くされた事を……」
そしてペテレーネはアガットを見て言った。
「……全ての傷ついた方達を癒すという理念を持っておきながら、肝心な時に間に合わず、本当に申し訳ありません………」
さらにティアは続けるように言った後、申し訳なさそうな表情で謝罪した。
「いいって。あれは俺の八つ当たりみたいなものだしな………あの姫さんは何の悪い事もしていないのに、酷い事を言ってしまったぜ……何も悪くないあんた達の事を今まで悪く思ってしまって、本当にすまない……」
「フフ……あの娘の事だからきっと気にしていませんよ。だから、気にしないで下さい。」
「……大切なご家族を亡くされたのです。世間ではさまざまな方達を癒した事から”聖女”と言われる私とペテレーネ様や、そしてリベールと同盟を結んだ”大陸最強”と呼ばれる我が国を恨む気持ちがあってもおかしくはありません。私達は気にしていないので、どうか貴
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