3部分:第三章
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は事務所の方針でタレントは常に度胸と意地を以って仕事に挑むべしとあるのだ。恭子もそれははっきりとわかっていた。
「そうだ、意地なんだよ」
そのA氏は言う。
「意地を見せるんだ、いいね!」
「ここでですね」
「そうだよ。泣き言なんてな、何時でも言えるんだ」
首を縦に動かしながら言う。
「けれどな、意地を張るっていうのはここぞって時にしかできないんだよ。そして意地を張らなくちゃいけない時に意地を張らないと」
「女じゃない」
「そういうことだ。わかってるじゃないか」
A氏の声が笑っているのがわかる。だが生憎顔は見えはしない。
「じゃあ覚悟はできたね」
「はい」
祥子はその言葉に頷いた。声にももう迷いはない。
「そういうことだよ。じゃあできるね」
「はい、ダイエットを」
「頑張りな。ファンがあんたの水着姿を待ってるよ」
そこまで言うとその某大型歌手は何処へと姿を消してしまった。何か嵐の様に現われて疾風の様に立ち去ってしまった。そんな感じであった。
「・・・・・・あのさ」
岩崎さんは呆然としながらも恭子に声をかけてきた。何かいきなりのことであったので何と言っていいのかわかりかねていたのだ。
「祥子ちゃん」
「トッコさん、わかりました」
だが祥子にはもう迷いはなかった。
「祥子やります、そしてずっと残るグラビアにしてみせます」
「ううん」
そんな彼女を見て首を傾げてしまっていた。だがそれでも悪い気はしなかった。むしろこれでいいことになったとすら思った。彼女の心が決まったからである。
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