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お寺の怪
5部分:第五章
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子も至るところで売られているのである。勝矢はその中の一つを買っていたのである。
「だから買っておいたのだけれど。ここは」
「それをどうされるので?」
「この御守りをこうして」
 マンゴープリンの蓋の上にそれを置いた。まずは。
「置くでしょ。それでそれを」
「食べるので?」
「あたしじゃないわよ」
 まずはそれは断った。
「この子に食べてもらうのよ。さっ」
 そこまで説明してから子供の前にそのマンゴープリンを置いたのだった。上に御守りを置いたまま。
「これでいいわ。後は」
「これを手に取るだけですか」
「ええ。幽霊だったら触れられないわ」
 勝矢はすぐに子供の前からラーマの横に戻って答える。子供は目を閉じて座して読経をしている為やはり二人には気付かないのだ。それにしても見事に暗誦していた。
「これでわかるわよ」
「普通の子供ならよし。幽霊だったら」
「御守りで動けなくなっている間に逃げましょう」
 勝矢の考えはこうだった。
「生まれてはじめてこの目で幽霊を見たことになるけれどね」
「私はこれで三回目ですけれどね」
「見たことあったの」
「ええ、まあ」
 何気に凄い経験をしているラーマであった。やはり只者ではない。
「実は前にそうしたところに行ったことがありまして」
「経験豊富なのね」
「変わった経験なら幾らでも」
 ということであった。
「ありますよ」
「そうだったの」
「ええ。まあそれで」
 彼はマンゴープリンを見ながらまた勝矢に話をする。
「今もどうかな、と見ていますが」
「どちらにしろこの子が食べた時にわかるわ」
 こうラーマに述べた。
「その時にね」
「そうですね。それじゃあ」
「さあ、どうなるかしら」
 真剣な顔で子供を見ていた。
「普通に食べられるかしら」
 それを見守る。やがてその読経が終わった。そして目を開いた子供はそのマンゴーに気付いた。するとすぐにそのマンゴープリンを手に取った。何事もなく。
「決まりね」
「人間ですか」
「ええ、普通のね」 
 勝矢はじっと子供を見ながらラーマに述べた。
「間違いないわ」
「ですか。それじゃあ」
「ええ。ねえ君」
「えっ!?」
 タイ語で話し掛けると。慌てて勝矢達に顔を向けてきた。かなり驚いた顔だった。
「どうしてここに。そういえばこのプリンも」
「そのプリンは貴方にあげるわ」
 まずはこう彼に告げた。

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