序の章
ハジマリ×ワカレ
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ます、あなた様は選ばれました」
いよいよ顔が見えるかどうかというところで、影は止まり、平坦な声でそう告げる。祝う気あんのか、と思いもしたが、直ぐに別の疑問で埋められてしまった。……私は、死んだ事を祝われているのか?
「何やら怪訝そうな顔をしていますね。神に選ばれたのだから、もっと喜んで下さいよ。ほら、人間は得意でしょう、順応」
「わ、わーい……?」
「元気が無いですねぇ。まあ良いですけど」
何やら気だるげに言われたが、その通りにしてみれば、なんだか受け流されてしまった。それどころか、冷たい目線で見られているような気もする。
なんだか少々イラついたが、この人物は誰なのだろうか。声からして、男だろうと予想こそしたが……そこまで考えて、私は問う。
「貴方、誰?」
少しだけ睨んで言った言葉だが、目の前の人物は意外にも丁寧に答えてくれた。
いや、始終面倒くさそうではあったし、その返答には耳を疑うしか無かったが。
「私ですか?めんどくせえ……いえ、なんでもありません。私は神の使い、所謂天使です。驚きました?今日はあなた様に用があり、訪れた所存です。こういうの面倒なので質問は受け付けませんよ。早速ですが本題に移らせて頂きます」
彼、天使は私に言葉を発する余地を与えないまま、本題だという話に入ってしまう。二人だけの会話だというのに、私はおいてけぼりである。
何度か声を挟もうとするも、完全に遮られてしまい届かない。
何故だか前に進めもしないので、彼の顔を拝むことも出来ない様だ。イケメンなら見たかったのに。
「良いですか?まず、貴女は神が一世紀毎に一度行う会議にて、今世紀初めて行われる実験的な企画の被検体の一人として選ばれました。この会議というのは…………」
この辺りはどうでも良さげな情報なのだろう、物凄く間延びした声で読んでいるため、それを聞き流す間に見える限りの彼の情報を得ようと目を凝らした。
そうして見えるのは、まず特徴的な服装だろう。ぼんやりとで全体像は見えないが、古代ギリシアで着られていたなんとかという服に似ている気がする。一枚の布を身体に巻き付けた様な服という事だ。
足元は肌色が見える事からおそらくは素足。所々に金色が見えるのは、アクセサリーという事だろうか。
頭部へ目を向けると、天使のイメージ通りというか、ブロンドの短い癖毛である事が受け取れる。横一線に緑が見えるのは、月桂樹の冠でも被っているだろうな、と勝手に結論付けた。相変わらずの霧で、顔を拝むことは出来ない。
見つめていると、視線が鬱陶しくなったのか天使君はこちらを見た。
「なんです? 私の顔に何かついてますか? というか、話聞いてました?」
「んーん、付いてないよ。話は最初だけ聞いた。ア
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