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お寺の怪
4部分:第四章
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だ。それが寺の建物のまで続いていたのである。
「あそこを通っていけば」
「安心して行けるわね」
「少なくとも今のところ道には蛇も蠍もいませんし」
「そうね。ただ」
「ただ?」
「出て来る可能性はあるわね」
 そう言ってまた警戒する目になる勝矢だった。
「横から」
「じゃあどうしますか?」
「棒を持って行きましょう」
 ラーマに提案する。
「道に蛇や蠍がいたらそれで横に払うのよ。どうかしら」
「それはいいですね」
 ラーマもそれに賛成して頷いた。
「それだと安全に蛇や蠍をどけることができますね」
「そういうことよ。それじゃあ」
「はい」
 こうして二人は棒を持って来て前や横を警戒しながらお寺へ進んだ。お寺の中に入ると次第に何やら声が聞こえてきたのであった。
「いるわね」
「噂は本当だったんですね」
 ラーマはそれがわかって顔を青くさせてしまった。そのうえでまた言う。
「正直帰りたいですよ」
「ここまで来てそれはないでしょ」
「いや、それでもですよ」
 泣きそうな顔でまた言う。
「噂じゃなくて本当にいたんですから」
「よかったじゃない。本当にいて」
「頭からバリバリと食べられたらどうするんですか」
「大丈夫よ。ほら」
 彼を安心させる為かここであるものを出してきた。それは青紫の布地に銀色の刺繍がしてあり糸紐で結ばれた巾着であった。中央には何やら書いてある。ラーマはそれを見てまずは目をしばたかせた。
「これ、何ですか?」
「御守りよ」
「御守り!?」
「日本のお寺や神社で売ってるのよ。魔除けよ」
「ああ、それですか」
「それ付けていれば安心できるわ」
 こう言ってまた彼に差し出してきた。
「あたしはもう一つ付けているから。さあ」
「日本のですか」
「そうよ」
 またラーマに答える。
「当たり前じゃない。あたしは日本から来たんだから」
「そうですよね。まあ確かに」
「さっ、あげるわ」
 彼に直接手渡した。その手に握らせる。
「これで大丈夫よ」
「わかりました。じゃあ頂きます」
「わかったら。行くわよ」
「有り難うございます。これ勝矢さんも同じもの持ってるんですよね」
「これよ」
 自分の胸にかけてあるそれをシャツから出して彼に見せた。
「ちゃんとあるから。安心してね」
「ええ。それにしても」
「今度はどうしたの?」
「この声ですけれどね」
 今も寺の中から聞こえてくるその声について述べてきた。
「噂とは違いますね」
「違うの」
「これはお経ですよ」
 こう勝矢に述べる。

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