第66話
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ギルドに戻ったエステル達はラヴェンヌ村であった経緯をルグランや、またラヴェンヌ村の事を聞きに来たメイベルに説明した。
〜遊撃士協会・ボース支部・夜〜
「いやはや……本当にご苦労じゃったのう。しかし、アガットのやつにそんな過去があったとは……」
「そうですわね……。お話を聞いてようやく合点がいきましたわ。あの時、アガットさんがどんな気持ちでいたのかを……」
ルグランが呟いた言葉にメイベルは辛そうな表情で頷いた。
「あの時?」
「10年前……『百日戦役』が終わった直後に、アガットさんが、わたくしの家を訪ねてきたことがあったのです。」
「ええっ!?」
「メイベルさんのお宅に、ですか?」
メイベルの話を聞いたエステルは驚き、プリネは尋ねた。
「ええ、当時市長だった父に凄い剣幕で喰ってかかったのです。ボース市長は、地方全体を総括する責任を兼ね備えている……。なのにどうしてラヴェンヌ村を見捨てたのかと。」
「あ……」
「まだ子供だったわたくしは父を責めるアガットさんの顔を見てとても頭に来てしまって……。それでつい飛び出していって平手打ちをしてしまったのです。」
「あちゃあ〜……」
「ま、不幸な事件だったわけね。」
メイベルの話を聞いたエステルとシェラザードは苦笑した。
「ええ……。結局、父はアガットさんの問いに答えることはできませんでした。代わりに、復興のための援助金を村に贈るつもりだと説明したんです。それを聞いたアガットさんは父に向かって拳を振り上げて……。……でも、結局振り下ろせずにそのまま走り去ってしまいました。」
「そんな事があったんだ……。だからアガットさんと市長さん、お互い妙な雰囲気だったわけね。」
メイベルの説明を聞いたエステルはアガットとメイベルの様子を思い出して納得した。
「……お互い、あの時のわだかまりがあるのでしょう。でも、アガットさんの妹さんが戦争で亡くなっていたなんて……。わたくし……あの方を誤解していたようですわ。」
「まあ、それについては言わなかった本人の責任もあるし。市長さんが気にする必要ないってば。」
罪悪感を感じているメイベルにエステルは気にしないよう言った。
「そう……ですわね。……アガットさんのケガはどの程度のものなのですか?」
「あ、うん、心配しないで。2,3日もすれば動けるようになると思うわ。」
「ふむ……不幸中の幸いと言うべきか。」
「ええ……大事に至らなくてよかった。………………………………」
エステルの説明を聞いたルグランは安堵の溜息を吐き、メイベルも安堵の溜息を吐いた後、ある人物の事を思い出して、辛そうな表情で黙った。
「そうい
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