暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第二部
狩るということ
じゅうはち
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りはやり易い。何故ならば、表面に感情が発露するからだ。
 だから、威嚇するように金切り声を挙げ、私へと突っ込んでくるヤツの次の行動はあまりにも素直すぎた。

 ある程度の警戒心や知能があれば、様子を見るなり逃げに徹するなり、それなりの行動を見せるはずであるが、どうやらそこまでの知能はないらしい。

 まあ、癇癪を起こした子供と同程度ということだ。

 ヤツは、残った右拳の一本で私を殴りつけてくる。

「もっと!」

 それを私は左手でもって弾き返し、続けざまに降り下ろされた左腕を今度は右腕で弾く。

「熱く!」

 両腕を弾き跳ばされたヤツの体が開き、腹部が丸見えになる。
 しかし、ヤツには左腕がもう一本残されており、その一本の腕は私の視線の右斜め下、鋭いフック気味のアッパーを繰り出してきていた。
 ただの人間が食らえば、簡単に頭部を体から切り離すことができるそれを体を引いて紙一重で避けると、ヤツの腕の鋭い突起が私のヘルメットに接触し、火花を散らす。
 それに頓着することなく、右足を軸にバックターンの要領で体を回転させてヤツの背後へと回り込んだ。

 当然それで終わらせるつもりなど毛頭ない。

 いまだ弾かれて所在なさげな残った一本の右腕を掴んで背中側へと無理矢理回し、間接を極める。

「なれよぉ!」

 私の魂の叫びと同時、ヤツの背中を力一杯蹴りつける言わば喧嘩キックを炸裂さて、間接を極めた右腕を力任せ引き千切った。

「2本でーも……」

 体液を撒き散らしながら、ギャアギャアと地面をのたうち回るヤツの後頭部へ一発。

「……なんだっけ!」

 千切った腕を降り下ろして叩きつける。

 同質の堅さを持ったモノ同士、まるで車のボンネットを殴ったような低く腹に響く音を鳴らす。
 ヤツの頭には皹が入っており、流石に後頭部に無防備な一撃を喰らったことによって、立ち上がろうとするその足は何とも頼りない。
 フラフラと木にぶつかり、地面に倒れを繰り返しているヤツを視界に入れながら、不要となった手に持っているものを無造作に投げ捨てる、

 少々バランスが悪いのはご愛嬌として、これで足2本に腕2本。やっと我々と同じになったわけだ。

 すると、ヤツはギィギィと弱々しく、しかし歯軋りを数倍不快にしたような声を出し始めた。
 私は過去の経験から、これは愉快な仲間たちを呼び寄せているのだろうと当たりをつける。
 正直、精神的にも害悪であるこの存在が増えることに対して辟易としてしまうが、ここは一斉に駆除できると割りきって、黙ってその時を待つ。

 ヤツはこちらを警戒しつつ、ゆっくりと立ち上がる。

 そして、その時は意外とすぐに訪れた。

 私のヘルメットがもう1匹、目の前の個体
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