第二部
狩るということ
じゅうなな
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も傷を付けること叶わず、左腕を切り裂かれたのち、足を引き千切られて、その足が咀嚼される音を聞きながら気を失ったそうだ。
ある程度はその恐怖心と、インパクトから誇張されている部分があるとは思うが、かねがね彼女の見解に間違いはないだろう。実際、彼女を含めた騎士団は文字通り全滅しているのだから。
「総隊長だったか。奴の遺体はなかったようだが」
「えっ? まさか、そんな筈は……。でも、もしかしたら」
「何か思い当たる節でもあるのか?」
彼女の含んだような言い方に、私は違和感を覚える。
これ以上深入りしてはダメだと思いながらも、何故か私はその言葉を聞かないことにすることはできなかった。
「いえ……。私の勘違いかもしれませんし、今はなんとも」
なんとも煮えきらないその態度に、私はヘルメット越しに目を細める。
「すみません。少し考える時間をいただけないでしょうか?」
ふむ。そう言われてしまっては仕方がない。彼女の方が付き合いも長いし、いままで生活してきた中でふとしたことが思い出されることがあるように、頭を整理していく必要もあるだろう。
私は短く了解の意を伝え、場を後にした。
―
さて、なんとなくではあるが、対象の全体像が見えてきた。
混沌獣ということもあるため、何かしらの特殊能力は持っているだろう。あの面白生物であるガミュジュですら、なんか良く分からないけど魅了する能力を持っているらしいのだ。
良く分からないけど、持っているそうな……。
彼女の中で総隊長に対する何か、不信な点とでも言うべき事柄があったようだが、私の狩りとそれは全く関係がない。むしろ、これ以上巻き込まれないように徹するのが最善だ。
というわけで、いまからその混沌獣を狩りに行こうと思います。
―
おはようございまーす。
寝起きドッキリもかくや、私は森の深部に生い茂る木々を絶賛飛び跳ね中である。
船に残した彼女には、少し出てくると伝えてあるし、ある程度の船内を自由に歩けるようにはしたが、ブリッジ周辺や重要施設にはもちろんセキュリティを掛け、立ち入りできないようにしてある。当然、外に出られないよう後部ハッチもだ。
これで取り敢えず、彼女への心配は無用だろう。
さあ、これで心置きなく狩りができるというものだ。
いまは、ヘルメットの視覚情報を操作し、混沌獣の足跡を追跡中だ。
やはり、5日も経っているとなればそれなりの距離を移動しており、追跡もなかなか骨が折れる。
かと言って、逃がすつもりは毛頭ないが。
何故かいま、無性に高揚しております。理由は不明だが、胸の奥
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