第1話
ep.010 『赤く染まる幼い少女編 8』 完結
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ながら言われたらさすがに説得力を感じるが、とりあえずはトイレに行ってもらおう。
「す、すいません。すぐに戻りますので、待っていてください。」
そう言い彼はトイレに駆け込む。
「お、そうだ!」
「? どうしたの、叶おにいちゃん?」
夢絶はポケットに手を突っ込む。
「ほいこれ、お守りだ。」
そう言って取り出したのは火の玉のような形をした金の枠に、赤と青と緑が入り混じったビー玉の様なものがはまっているネックレスだった。
「わぁ〜。お兄ちゃんからのプレゼントだぁ〜!」
どうやら気に入ってくれたみたいだな。これさえあれば、この子も安心だ。たとえ何処にいても。
「もしもの事があったら、その玉を握りしめるんだ。いつか使うときが来るだろう、その時にその玉を絶対に使うんだぞ。」
戻り、
「さ、さて第1学区に行きましょうか。」
「いや、ここまででいいだろう。俺はここまでだ。」
地上にさえ来れば、安心できる。地下の危険さから考えて付いてきたというだけだ。今はそういう事にしよう。
それに、この子にもし何かがあっても、俺の渡したあのネックレスがきっと助けてくれる。
「じゃ、俺はここでバイバイだ。」
彼女が此方を向く。それまでに見た事の無い寂しそうな顔、俺はそれまでに彼女に見せたことの無いような笑顔を見せる。やったことの無い事だ、おそらく頬を思いっきり引きつっていたと思う。
「では、ここまでですね。『シ 296』さん、行きましょう。」
あいつは恐らく何もわかっていない。でも、俺のしてほしいことは分かってくれている。
俺は振り返り、エレベーターの『開』を押す。
帰ってゲームでもするか。 終
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