第29話 暗雲
[9/9]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
湾内には消えてしまったサソリしか頭になかった。
そんな
そんな
これが最後なんて
ゴミ箱を倒しても気に留めず、走っていく。
クモの巣が絡み付こうが関係なかった。
手に持っていた袋を落としそうになりながら、配水管で湾内は躓いた。
「痛い......」
膝から血が出ている。
不意に背後に立つ気配がした気がして湾内は、振り返った。
「サソリさん!」
しかし
「あれ、常盤台の子じゃね?」
「うは、お嬢様じゃん!どうよ俺達と楽しい事しない?」
三人組の不良が湾内を見下ろすように立っていた。
ジリジリとニヤけながら、手を伸ばしてくる太い腕に湾内は、恐怖に顔を引きつらせる。
「あ......あ......ああ」
持っていた紙袋を投げ付けると、慌て起き上がり、逃げようとするが腕を掴まれて、不良の胸元へ強引に引き寄せられた。
口元を押さえられて、悲鳴を上げることもできない。
もがいて脱出しようとするが、不良と湾内では明らかに筋力では勝てなかった。
不良の男がゆっくりと湾内の耳元で囁く。
「大丈夫だって、ちゃんと帰してやるから......いつになるか分かんねーけどな!」
「んーんー!」
「常盤台の子とヤレるなんて最高じゃね!」
湾内を引きずるようにして不良の男達は路地裏の奥へと消えて行く。
助けて
助けて......ください
サソリさん!
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ