第29話 暗雲
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翌日の朝、御坂がいつものようにやってきた。
「おはよー、サソリ!うげっ?!」
ノイズのような音に御坂が苦い顔をした。
「何でキャパシティダウン使われているのよ?」
「きゃぱしてぃ?」
「これ聞いている状態じゃあ、能力が使えなくなるのよ」
謎が解けたサソリは、睡眠不足と相まって力無く、布団の上に倒れ込んだ。
「そうか、チャクラが練れないのはそいつのせいか」
「うるさいから止めるわよ」
「ああ」
スイッチを弄ると大きな換気口から排出される音がなり、ノイズが鳴り止む。
「ひょっとして、脱走防止かしら?だとしたら徹底しているわね」
「アイツならやりかねんな」
鬼軍曹ことサソリの担当看護師が腕を鳴らして眼を光らせているイメージが過る。
「いやー、黒子は朝から駆り出されているし、夏休みだから暇なのよねー」
パイプ椅子を用意して、背もたれ部分を抱き抱えるように座る。
「佐天さんの病室にでも行ってみようかしらね」
「アイツなら、今日診察らしいぞ」
「あら、じゃあダメね」
「ふー」
サソリがグッタリと座っているのに気が付いて御坂が質問をした。
「大丈夫?ちょっと顔色悪いけど」
「ちょっとな、昨日来た奴いただろ」
「湾内さんと泡浮さん?」
「湾内と連絡が取れるようにしただろ、これを見ろ」
サソリがテーブルの上に置かれた携帯電話を手に取ると御坂にメール部分を開いて見せる。
未読メール 34件
御坂が目を見開いて、サソリの携帯電話を弄る。
「!!?」
「全部、アイツからなんだが」
「ちょっと内容見せて貰って良い?」
「ああ」
差出人 湾内絹保
件名 好きな食べ物
チーズフォンデュはお好きでしょうか?
差出人 湾内絹保
件名 好きな食べ物
ピータンはお好きでしょうか?
差出人 湾内絹保
件名 好きな食べ物
キャビアはお好きでしょうか?
下にスクロールしていくがどれも名詞だけを変えたテンプレ文のように続いている。
「待って待って!湾内さん!食べ物総当たりで質問していく気?!」
「はい」か「いいえ」で答えられるメールを所望したので、湾内はしっかり守っているが、ここまでされる逆に恐怖だ。
「アイツに教えたのまずかったな。昨日から凄え来るんだが」
「返信した?」
「最初の方は返していたがその後は面倒になって返してない。それでも来るからもう......」
サソリがガクッと項垂れる。
よっぽど参ってしまったらしい。
凄いわね湾内さん
こんなに疲れきっているサソリ初めて見たわ
「御坂は、あの湾内とかいう奴を知っているのか?」
「んー、あたしもつい先日会ったばかりだから」
「どういう奴だ?」
「そ
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