本編
第八話
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間が二人いる状況に慣れてしまい、サイトの異常っぷりを気にすることなく手際よく馬を小屋に繋いでいた。
「それでパイはどこで食えるんだ?」
「メインストリートに最近出来たカッフェとかいうお店のクックベリーパイがおいしいらしいからそこへいくわよ」
「へいへい」
そんなふうに目的地を相談しながら、人で混雑する王宮に続くメインストリートを歩く二人の横を駆け足で走り抜けていく男の姿があった。それはそこまで珍しい出来事ではない、情報通信手段と高速輸送手段が未だ発達していないハルケギニアでは、事と物の移動は専ら人の足で行われるのが常であるからだ。
だがその男は少しばかり不審であった。どこかから情報を持ってきているにしては身なりがあまり綺麗ではなく、輸送に荷物を持っているわけでもなかった。
その男を不審がり目で追うルイズ達だったが、やがて男は路地に曲がりこんで見えなくなってしまった。素性は分からないが不用意に詮索するものでもないとルイズ達は気にしないようにしようとしたが、男が丁度見えなくなったタイミングでルイズ達の後方から聞こえた叫び声に態度を変える。
「スリだ!誰か捕まえてくれ!」
後方から走って来た身なりのあまりよろしくない男、そしてこれまた後方から聞こえてきたスリという言葉、それで状況を把握したルイズは自らの使い魔であるサイトに指示を出す。
「サイト」
「りょーかい」
説明はいらない、サイトも状況は理解出来ていた。それになにより彼女達の間にある信頼は、一言だけでお互いの意志を伝え合えた。
サイトはルイズの指示に肯定の意だけを示すと、身を低くしすり抜けるように人混みを抜けていく。足をバネのように縮め、その隙に通り抜けれそうな隙間を見つけるとその隙間に向かい跳ねるように飛び込む。そして隙間を抜けるとそこでまた同じように次の隙間を抜けていく。その動きはまるでアメンボのようであった。
次の隙間に飛び込む一瞬の間だけとまり滑るように人混みを抜けていくサイトの姿は、前の地点から次の地点へと瞬間的に移動しているようであった。
ルイズが自らの相棒であるテゥ―スを宝石の形態から杖の形態へと、周りに見られないようにマントで隠すように変化させている間にサイトは人混みを抜け切り、男が入っていった路地へとたどり着いていた。
サイトが路地を走る男の背中を確認しそれを追う一方、ルイズはテゥ―スを持ったままフワリと宙に浮く。周囲の人達がいきなり飛び上がったルイズに驚くがそれも一瞬のこと、ルイズの身に着けているマントを見て、彼女が貴族でありメイジであると理解するとすぐに驚きも収まる。メイジが空を飛ぶのは別段珍しくない光景であったからだ。
ただしルイズはメイジ達が一般的に使う『フ
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