本編
第八話
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それもいいけど、いつも食べてるから流石に同じ味ばっかりだと飽きてくるのよ。 マルトーさんのパイがおいしくないっていってるわけじゃないわよ? ただ偶には他の人の作ったのを味わってみて、味覚をリセットとしてからまたマルトーさんのパイの味を確かめてみるのも悪くないかと思ったのよ」
「つまり?」
「王都まで食べにいくわよ!」
そして少女、ルイズは思い立ったが吉日と言わんばかりに、手早く準備を済ますと使い魔であるサイトを少しばかり強引に引っ張って学院の寮を飛び出した。なんやかんやで案外付き合いの良いサイトは抵抗することなくルイズに引っ張られていった。
そしてルイズが辿り着いたのは学院の馬小屋であった。学院から王都まではそれなりの距離があり、普通に人の足だけで往復していれば日が暮れてしまう。そこで馬である。メイジであればフライの呪文で空を飛ぶこともできるがそこまでの速度はでない。また馬よりも高速で移動出来る幻獣などは軍隊等の特別な場所でしか一般的には利用されていない。故にハルケギニアで最も一般的な乗り物といえば馬であった。
ただ、異世界の魔法技術を持つルイズであれば幻獣並みの速さで単独飛行も可能であるのだが、ルイズは過剰に目立つ行為を避けていた。そこで馬を一頭借り、学院から真っすぐ伸びる街道を走らせた。
ただ彼女は気が付いていなかった。少し見慣れてしまったせいか、誰かに見られれば絶対に目立つであろう自身の使い魔の行動に。
「それにしてもどうして急にパイが食べたくなったんだよ?」
「違うわ、私がパイを食べたくなったんじゃない。パイが私を呼んでいるのよ!」
「わけわかんねえよ」
馬に乗ったルイズと、その馬に並走しているサイトが軽く話ながら街道を進む。注目して欲しいのはルイズと馬とサイトだ。ルイズは馬に乗っている、借りた馬は一頭だけ、その隣をサイトは並走している。
違和感に気が付けただろう。サイトは街道を走り抜ける馬の隣を平然と自分の足で並走しているのだ。
競走馬でない馬の巡行時速は約20〜25kmと言われている。馬は生き物であるから途中で休憩を入れることも考えればもう少しは落ちるだろうが、その速度は地球の一般的な自転車の速度を上回っている。またフルマラソンの選手の時速が高くとも20kmであることを考えれば。人間であるサイトが馬の隣を並走出来ているのは異常だ。
慣れとはかくも恐ろしいものなのだ。ルイズはおろか、頻繁に学院と王都との間の道を進む商人などもいつの間にかサイトの姿を見ても動揺することはなく気楽に挨拶を交わすことさえある。
そんなサイト達はその速度もあってとうに王都に辿り着いていた。
王都にある馬屋でも一人が乗るのでやっとのサイズの馬が一頭に対して人
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