第二部
狩るということ
じゅうろく
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
。
「でもっ!!」
「何かあれば、その時に伝える。それだけの価値があったのだろう? それには」
なんか面倒なことになりそうなので、私はそう言って彼女の体を顎で示して、お茶を濁すことにした。
実際、対価を受け取らない理由として、彼女が私に対してできることなど高が知れているというのが1つ。そもそもそんな対価が欲しいとか、そういったことすら頭になかったので一瞬私がパニクったのが1つ。イケメンになりたかったのが1つ。
最初を除いて、どれもどうしようもない理由なのはご愛敬だ。
まあ、一番は彼らがこれを送り込んできた、というのが最も足る理由であるが。
完全な私の予想というか、希望的観測になるのだが、医療ポットをこのタイミングで送るという、そこに何かしらの意味があるのではないかと思う。彼らがそんな意味のない、非効率なことをするとは思えなかったのだ。
もし、本当に何も考えてない、ノリと勢いだけで送りつけてきたのだとしたら、次に会ったとき、私はプラズマ爆弾を彼らに全力で投げ付ける。
そんな私の思惑など知らない彼女は、蚊の鳴くような声で小さく返事をする。
「取り合えず、何かしら腹に入れておけ。話はその後にしよう」
私は人間も食べることのできるレーションを差し出す。
カロリーと栄養補給に重点を置いているため、味はお察しだ。
それでも食べないよりはましだろう。
彼女は小さく肩を震わせて、時折、鼻を啜りながら器用に両手でレーションの包みを開けていく。
「あんまり美味しくないですね」
背を向けた私は顔だけそちらへと振り向き、くぐもった声にただ一言。
「……そうか」
それだけを返した。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ