暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第二部
狩るということ
じゅうろく
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「でもっ!!」
「何かあれば、その時に伝える。それだけの価値があったのだろう? それには」

 なんか面倒なことになりそうなので、私はそう言って彼女の体を顎で示して、お茶を濁すことにした。
 実際、対価を受け取らない理由として、彼女が私に対してできることなど高が知れているというのが1つ。そもそもそんな対価が欲しいとか、そういったことすら頭になかったので一瞬私がパニクったのが1つ。イケメンになりたかったのが1つ。

 最初を除いて、どれもどうしようもない理由なのはご愛敬だ。

 まあ、一番は彼らがこれを送り込んできた、というのが最も足る理由であるが。
 完全な私の予想というか、希望的観測になるのだが、医療ポットをこのタイミングで送るという、そこに何かしらの意味があるのではないかと思う。彼らがそんな意味のない、非効率なことをするとは思えなかったのだ。

 もし、本当に何も考えてない、ノリと勢いだけで送りつけてきたのだとしたら、次に会ったとき、私はプラズマ爆弾を彼らに全力で投げ付ける。

 そんな私の思惑など知らない彼女は、蚊の鳴くような声で小さく返事をする。

「取り合えず、何かしら腹に入れておけ。話はその後にしよう」

 私は人間も食べることのできるレーションを差し出す。

 カロリーと栄養補給に重点を置いているため、味はお察しだ。
 それでも食べないよりはましだろう。

 彼女は小さく肩を震わせて、時折、鼻を啜りながら器用に両手でレーションの包みを開けていく。

「あんまり美味しくないですね」

 背を向けた私は顔だけそちらへと振り向き、くぐもった声にただ一言。

「……そうか」

 それだけを返した。
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