第二部
狩るということ
じゅうろく
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自然に振る舞う彼女に声をそう声を掛けたところで、自身の浅はかさを呪う。
それは、彼女がどこか焦点の合わない瞳で自分の欠損した箇所を交互に見ながら、息を荒くしていく様を見せ付けられたからだ。
顔を蒼白く染め上げながら、喘ぐように息をする彼女に近寄り、そっとその頬を撫でる。
この爬虫類染みた手で触れられるのはアレだろうが、この際は致し方ない。
その手で無理矢理に顔を上げさせて、私はその瞳をじっと見つめる。交差する視線の中、彼女の揺れていた瞳が私へと固定されていき、それと同期するように呼吸も落ち着いてくる。
「問題ない。その左腕も左足も間違いなく貴様の物だ。何も心配はいらない」
左腕は切断されたものを縫合し、左足は彼女の細胞から培養したのだから、何も間違ってはいない。欠損したことを知らなければ、違和感も残らず、絶対に気付くことはないだろう。
それほどまでに、医療ポットは完璧に仕上げることが可能な代物だ。
是非とも、私用にもう一台用立てて欲しいものである。
「あぁっ、あの。わた、わたし……。なんでなんで……っ!」
「大丈夫、心配いらない。それにここは安全だ」
理解したのかどうなのか、私はそれを確認せず、無理矢理にベッドへと横たわらせる。
「……まだ体力も戻っていない。寝ておけ」
いまは何よりも休息が必要だろう。
彼女はそれに逆らうことなく、まだ少し荒い息のまま目を閉じる。
次に目を覚ましたとき、そのときは落ち着きを取り戻していることに期待しつつ、私は彼女の寝息が聞こえ始めるまでそこに居続けた。
―
翌日、ブリッジで端末を操作していた私の元に、彼女が起きたことを告げるアラームが鳴る。
常に室内をカメラが映し出しており、何度か寝返りを打つ様子も伺えたが、バイタルも安定しており、悪夢を見た風もない。終始落ち着いて眠りの中に入っていた彼女がゆっくりと起き出し、ベッドに腰かけたままキョロキョロと室内を見回していた。
まだ夢現といったところだろう。
勝手に歩き回られる前に、私から出向かなければならない。すぐ傍に置いておいたヘルメットを装着して、私はブリッジを後にする。
こう言ってはなんだが、自分の船内、云わばマイホームであるのにどこか落ち着かないのは、やはり私以外の者が乗船しているからだろうか。
決して他意はないのであるが、プレデターとして一人旅をしていたのも、実はそう悪くなかったのかもしれない。
というよりもだ、明らかに厄介事に首を突っ込んでいる感が否めないのは何故だろうか。いったい私の計画はどこで狂った。いや、そもそも宇宙を航行中に、得体の知れないあの力場に捕まったのが一番の問題だったか……。
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