第65話
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「………”もし”の話なので、実際どうなったかはわかりませんが…………もし、アリシア女王がお父様の提案を受けていたらアガットさんの妹さんが生きていた可能性はあると思います。……”百日戦役”の際、メンフィルが制圧した領をエレボニアが制圧された領を奪還するために何度か防衛戦があったと聞きますが………その際、流れ弾が都市に落ちないように、魔道軍団の一部隊が魔術による防衛結界を都市に貼って、一般市民に被害が受けないようにしたと聞いています。」
「そっか…………」
プリネの推測を聞いたエステルは複雑そうな表情をした。そしてモルガンは話を戻して続けた。
「村の犠牲者の葬儀が行われた時、わしは軍の代表として出席したが……。その時会った、赤毛の少年の目を今でもはっきりと覚えておる。底知れぬ哀しみを、怒りでねじ伏せるような……そんな痛々しい眼差しをな。そんな目をさせたのは……やはり、わしなのだろう。」
語り終えたモルガンは目を伏せた。
「……いや。そうではないのじゃ。アガットが本当に責めていたのは帝国軍でも、ましてや閣下でもない。他ならぬ自分自身だったのじゃ。」
「……?」
「ど、どういうこと?」
しかし村長の話を聞いたモルガンは伏せていた目を開いて村長を見て、エステルは首を傾げた。
「詳しいことは話せぬが……。アガットは、ミーシャの死を自分の責任のように感じていた。決してそんな事はないんじゃが、そう思い込んでしまったんじゃな。そして激しく自分を責めた挙句、村から飛び出してしまった。どうすればミーシャに償えるか、その答えを探すために。おそらくルーアンで荒れた日々を過ごしていたのも、その答えが見つからなかったからじゃろう。」
「………………………………」
「その後、良い導きがあって遊撃士の道を志したようじゃが……。どうやら未だ、あやつは答えを見つけてはおらぬらしい。10年前と同じように深い哀しみと、自分への怒りに囚われてしまっておるようじゃ。」
「……やり切れぬ話だ。」
村長の話を聞いたモルガンは目を伏せた。
「……ねえ、将軍さん……。やっぱりあたしたちも、竜対策に協力させてくれない?」
「なに……?」
「遊撃士には軍にはない強みが確実にある。フットワークの軽さとか、市民との距離の近さとか……。軍人さんが普段入らないような奥地にも出かけたりするしね。きっとお役に立ってみせるから。」
「だが……」
「アガットが遊撃士になったのはそうした所に可能性を感じたからじゃないかと思うの。どうしたら妹さんに償えるか、その答えを見つける可能性を……。……その意味では、アガットが父さんに誘われて遊撃士になったのはすごく納得できると思う。父さんは、お母さんやあたしを守れ
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