7部分:第七章
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第七章
「もう。遠慮しなくていいから」
「有り難う」
皆芙美子のその言葉に対して礼を述べるのだった。
「それじゃあ本当に」
「そうさせてもらうわ」
「これからはいつもね」
「私、作るの好きだから」
この言葉も心も変わらなかった。
「だから。是非ね。御願い」
「学校の皆にも言っていいかしら」
またクラスメイトノ一人が言ってきた。
「芙美子の料理が。とても美味しいって」
「そうよね。誤解していたし、皆」
「それはね。いいかしら」
「ええ、どんどんして」
芙美子の言葉はここでも変わらなかった。
「私も。そうしてもらったら本当に嬉しいし」
「そう。じゃあ」
「やらせてもらうわ」
「それにしてももうなくなったわね」
またクラスメイトノ一人が言った。
「皆あっという間に食べちゃったわね」
「だって。美味しかったから」
また別の女の子の言葉である。
「このお好み焼き本当に」
「そうよね。相当美味しかったわ」
食べてからわかることだった。言い換えれば食べてみないとわからない。そういうことだった。
「もう一枚・・・・・・ないわよねえ」
「やっぱり」
皆照れ臭く笑って芙美子に尋ねる。
「それは図々しいし」
「今までが今までだし。やっぱり」
「あるわよ」
しかし芙美子の返事はこうであった。
「それは。充分にあるわ」
「あるって。けれど」
「もう材料全部使ったしそれにもう時間も」
「だって。私料理部だから」
「あっ、そういえばそうね」
「そういえばね」
皆芙美子の言葉にはたと気付いた。話に夢中で忘れていた衝撃の事実であった。衝撃の事実と言うにはかなり大袈裟ではあったが。
「それじゃあ続きは料理部でなのね」
「そうよ。だから皆後は放課後ね」
「ええ、放課後ね」
「その時になのね」
「また。作るから」
この七色のお好み焼きをということだった。
「その時また来て」
「わかったわ。それじゃあね」
「その時にね」
「ええ」
また微笑む芙美子であった。
「一杯作って待ってるからね」
こうして芙美子の料理の評判は一変した。彼女が作って美味しいのはお好み焼きだけではなく他の様々な料理もであった。美味しいだけでなくその栄養も抜群によく風邪なぞ一発で治る程であった。おかげで今では彼女の料理は皆先を争って食べ合う程だった。
「しかしよ、あれだよな」
「あれって!?」
「だからあれだよ」
今日はハンバーグだった。男組も女組もその紫色のぐちゃぐちゃとした形の所々に得体の知れないものが出ているハンバーグを見ながら話をしていた。
「外見じゃわからないよな」
「ああ、そうだな」
「確かにな。それはな」
皆そのことには納得するのだった。確かにこのハンバーグの
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