5章〜守るべきもの〜 外伝〜始まりし最後の”実験”〜
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を取った。
「この『ゴスペル』が起こす『導力停止現象』じゃが……。お前さん、あの現象がどのようなものだと理解しておる?」
「『ゴスペル』の周囲にあるオーブメントに連鎖して起こる機能停止現象……。そのように捉えていますが。」
「半分正しくて半分間違っておる。お前さんが言った現象はどちらかというと導力魔法の『アンチセプト』に近い。内部の結晶回路をショートさせ一時的にオーブメントを働かせなくしておるわけじゃ。じゃが、『ゴスペル』が起こす現象はそれとは根本的に異なっていてな……。オーブメント内で生成される導力を根こそぎ奪い取るのじゃ。」
「つまり、『導力停止』ではなく『導力吸収』ということですか……」
博士の説明を聞いたカシウスは考え込んだ。
「うむ、内燃機関でいえばガソリンを抜き取るわけじゃな。」
「ふむ、確かにそれなら『アンチセプト』との違いも説明できそうですが……。いや……待てよ。それなら奪われた導力は『ゴスペル』に蓄積されるはず。」
「うむ、良い所に気付いたの。結論から言ってしまえば、周囲から奪われたはずの導力は『ゴスペル』内部に存在しなかった。それこそ1EPたりともな。」
カシウスの推測に頷いた博士は説明を続けた。
「周囲に拡散した可能性は?」
「無い。キレイサッパリとどこかに消えてしまうのじゃよ。」
「………………………………」
博士の説明を聞いたカシウスは目を細めて考え込んでいた。
「そして、エステルたちが出くわした一連の『新型ゴスペル』じゃが……。最新の導力技術では説明できない『あり得ない』現象を引き起こした。そのような現象をどうやって引き起こすのかは不明じゃが……。1つ確実に言えることがある。」
「それは……?」
「小さすぎるのじゃ。これまで起きた大規模な異常現象を発生させる機構を、掌大に収めるのは物理的に不可能だと断言できる。たとえ《結社》とやらが我々より遥かに進んだ技術を持っていてもな。」
「なるほど……何となく掴めてきましたよ。つまり、この『ゴスペル』は『端末』に過ぎないわけですね?」
「うむ……まさにその通り!『ゴスペル』そのものには異常な導力場の歪みのようなものを発生させる機能がある。その歪みは共鳴するように広がり、周囲のオーブメントから導力を奪う。そして奪われた導力は、歪みの中に吸い込まれて消滅する。いや、正確には消えたのではない。別の空間に送られたというわけじゃ。」
カシウスの推測に笑顔で頷いた博士は説明を続けた。
「そして、その別の空間にはあり得ない異常を引き起こせる『何か』が存在している……。つまり、そういうことですか。」
「うむ、間違いあるまい。『結社』は『ゴスペル』を通じてその『何か』が持って
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ