第3話 戦慄の人里! 北斗現れる所乱あり!
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そんな人里のとある一角にて、見慣れた格好の少女が誰かと話しをしている光景が見受けられていた。
「だぁかぁらぁ、何度も言ってるでしょ魔理沙。そんな人間が居る訳ないって」
「絶対居るんだって! 信じてくれよぉアリスゥ〜」
「はいはい、分かった分かった。信じるからちょっと退いててよ。仕事の邪魔よ」
そう言ってアリスと呼ばれた少女は魔理沙を適当にあしらい、そそくさと支度をし始めた。
様々な小道具を詰め込んだ小道具入れから慣れた手つきで準備を始めて行く。
小さな背景の描かれた舞台に複数の人形。どうやら人形劇を行うようだ。
そして、そんなアリスの前では彼女の劇を今か今かと待ちわびる子供たちの姿もちらほらとあった。
「相変わらず繁盛してんだなぁ、お前の劇」
「最近新しい話を見つけてね。これが結構好評なのよ。魔理沙も見て行く?」
「へぇ、面白そうだなぁ。是非見てやろうじゃないか」
「何偉ぶってんのよ?……まぁ良いわ」
アリスが支度を終えると魔理沙もまた子供たちの後ろに座りこむ。
準備が出来たのを皮切りに人形劇が始まりだし、アリスの手の動きに合わせて複数の人形が舞台狭しと演技をし始める。
「時は199X年、世界は核の炎に包まれてしまいました。海は枯れて、地面は裂けて、全ての生き物は皆死に絶えてしまったかに見えました。ですが、人類は未だ滅んではいなかったのです」
緊張感を持たせるべく迫力の籠ったアリスのナレーションが響く。それにすっかりのめり込んだのか子供たちは勿論魔理沙までもが人形劇に釘付けとなっていた。
『ヒャッハー! 水だ、食料だ! 持ってる物をありったけよこしやがれ!』
『あぁ、助けて下され、これを持って行かれたら私たちは明日を生きてはいけないのです。どうかご慈悲を』
『知るかよバーカ! 明日を生きれねぇってんなら今日死んじまえ!』
「あぁ、何と言う事でしょう。荒廃した世界で人類は互いを思いやる心を忘れ、僅かに残った水と食料を巡って奪い合い殺し合う弱肉強食の世界となってしまったのです。虐げられる弱気人々。そんな人々を食い物にしていく悪党たち。この世には人々を救う救世主は居ないのでしょうか?」
アリスがナレーションをしつつセリフを喋る。しかもそのキャラクターに応じて声色を変えている為か劇の熱気は更に上昇していく。
魔理沙の目の前に陣取っている子供たちは誰もが劇に釘付けでありこの後の展開を今か今かと待ちわびている。
(なんか、アリスにしちゃ随分と血生臭い劇だなぁ。何時もだったらもっとメルヘンチックな話持ってくる筈なのに。にしてもこの話、何か引っ掛かるんだよなぁ……前に似たような奴に会った気がするんだけどなぁ……)
劇を見ながらも魔理沙はその劇の内容に違和感を覚えだした。
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