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空気を読まない拳士達が幻想入り
第3話 戦慄の人里! 北斗現れる所乱あり!
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「暇だわ……」

 唐突にそう呟きながら、霊夢は退屈そうに欠伸をした。今日も空は快晴で事件は何一つ起こらない平和な一日となっている。
 そんな平和で退屈な時間をどう過ごすべきか、解決方法が見当たらず、結局霊夢は再び欠伸をする羽目となった。
 本来ならば誰もが見慣れた光景だと言えるであろう。だが、今回だけは違う。
 違う所と言えば、それは現在霊夢が暇を持て余している場所が神社の縁側ではなく、店内のレジだと言う事だ。
 数日前に訪れたケンシロウが博麗神社に北斗神拳を誤射してしまった為に神社は粉砕してしまい、結果として霊夢は残っていた家財道具一式と着替え数点を風呂敷に詰めて現在ケンシロウが厄介になっている香霖堂に寝泊りさせて貰っている事となっていた。
 此処の店主である霖之助はその話を聞き快く部屋を貸してくれた。
 が、その為に霖之助は店内で寝る事となりケンシロウに至っては野宿する羽目になったのだから災難としか言いようがない。
 そんな災難続きの日から数日が経ったある日、それが今日この日なのであった。

「暇よ暇過ぎだわ。どっかで異変とか起こらないかしら。それかその辺で爆発とか起きないかしら」
「相変わらず物騒な事を呟くなぁ」

 店内の品物の手入れをしながら霖之助は苦笑いを浮かべた。彼女の物騒な物言いも親しい人間ならば別に珍しい事ではない。が、そんな物騒な事をなんの前触れもなく発せられると流石に返答に困ってしまう。
 そう、霖之助は思っていた。

「霖之助、この品は何処に置けば良い?」

 その近くでは、ケンシロウが霖之助の手伝いとばかりに店内の品々の整理を行っていた。
 幾ら一般常識皆無なケンシロウであってもコンビニバイトで培った経験があるのか、思いの他スムーズに進んでいた。
 その作業中に見つけたのが偉く埃を被った古臭い骨董品であった。壺の様な形をしているのだが色合いは何処か地味と言うか暗い感じの色合いをしており、しかも壺の口回りに小さなヒビが入ってしまっている。

「う〜ん、さすがにこれは売り物にならないな。外の方に置いておいてよ。埃を落として何かに使うからさ」
「分かった」

 了解し、ケンシロウは外へと埃の被ったツボを持って出て行った。そして、再び品々の点検に入る霖之助。

「暇だわ……」

 そんな霖之助とケンシロウのやり取りを見た霊夢が再びぼやいた。




     ***





 外に出たケンシロウは早速壺の埃を布などで拭き取った。色合いは地味だが決して汚い色ではない。見る人が見れば良い色合いをしている筈である。
 だが、保存方法が悪かったのか少々傷みが来ており、これでは値打ち物には到底なりそうもなかった。

「汚れはこれでとれただろう。さて、後は―――
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