壱章
誰故に 乱れ初めにし 〜中〜
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がと出来たと言えるが、喜多によって大きく成長したことも忘れてはいけない。
無論、弟である小十郎に巡り合わせた人物の一人であるが政宗の教育係でもある人物だ。
実の弟達を時に厳しく、そして優しく指導していたのと同じように政宗にも兵法や文学、様々な事を教えた。
一時期、病で疎遠になってしまっていた母・義姫。
今は和解したものの政宗が家督を継いだ後、実家の最上家に戻っている。
母と疎遠になっていた原因である病に苦しんでいた時、母の代わりに労わってくれたのも喜多である。
だが、育ての母のような人物であれ彼女に対する恐れも共存している。
幼少時、悪ふざけで「ババア」と言ったところ、喜多がにっこり笑ったと思った次の瞬間尋常じゃない位の力で頭をぐりぐりことがある。
しかも時折あの小十郎でさえビクビクし頭が上がらないことがあるのを見て本気で怒るととてつもなくヤバい人物であり、奥州……いや天下最恐の人物であることを確信した。
それでも恐れ以上に信頼している人物である。
____政宗にとって小十郎と喜多は兄、姉のような存在だと言えるだろう。
其の位二人に感謝し、慕っているのだ。
だが喜多は最近全国を渡り歩くようになった。
なんとも政宗が成長したから教育係を辞め、今度は政宗の夢である天下取りの道が有利になるよう他国の情報を集める為、らしい。
確かに喜多は時折伊達家に戻り、様々な情報を提供してくれるしその情報によって将軍・足利義輝によって天政奉還が行われ混沌としている日ノ本中の中でも比較的、有利な立場になっているとも言えるだろう。
現に、政宗が京に滞在している理由である織田と豊臣の動向について教えたのも喜多だ。
どうやら最近、織田・豊臣両者が同盟を結ぼうとしている動きがあるらしい。
それが真ならかなり面倒臭いことになるであろう事は目に見えている。
そういうこともあり、うかうかしては居られないのだ。
小十郎は僅かに苛立っている主の顔を見て問い掛ける。
「政宗様、一つお聞きしたいことが御座います。」
「……なんだ?、言ってみろ小十郎。」
政宗はまた庭先から小十郎に視線を移し、じっと目を見ている。
「失礼ながら…、政宗様が姉上に訪ねたい事と、此処最近夜分遅くに何処かにお出掛けになられていることに関連は御座いますか?」
「………あぁ、ちょっとした人探しだ。」
流石は龍の右目、察しが早い。
小十郎のほうに身体を向け、顎に手を当てては僅かに口元を綻ばせ政宗は続ける。
「アイツには或る娘のことについて調べて欲しんだよ、…………ソイツがまたかなり美しい娘で身の上を詳しく知りたくて、な?」
「…はっ…、
………………………はッ?」
小十郎は思わず耳を疑い、目が点になった。
「ッんだ
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